社会総合
サイレン鳴ってもお構いなし、消防車に道を譲らない韓国人
「車はよけてくれるが、人がよけてくれない」。16日午後2時48分、ソウル市鍾路区内の横断歩道の手前で、サイレンを鳴らして走っていた消防車14台が一斉に停止した。登山服姿の中年男性2人が消防車を見ながらも全く気にせず道を渡っていた。大きな荷物を抱えた高齢の女性もその後に続いて渡った。先頭の消防車は拡声器で「出動中です。横断歩道を渡らずに、道をあけてください」と繰り返し要請した。消防車が見えた場合、信号が青であっても止まって待たなければならない。鍾路消防署のホン・ジンソク状況室長は「横断歩道のたびに20-30秒ずつ遅れれば、(火災鎮圧の)『ゴールデンタイム』に絶対に間に合わない」と話した。
この日の午後は、韓国各地の混雑した道路349か所で、消防車に道を譲る訓練が行われ、韓国全土の215の消防署が全て参加した。この訓練は、火災鎮圧の『ゴールデンタイム』とされる6-7分以内に消防車が現場に到着できるよう、消防車に道を譲る必要性を歩行者とドライバーに認識してもらうために行われた。
この日、鍾路消防署から出動した消防車の車列は、本来なら20分で着くはずの10キロ先の地点まで、30分かかった。警告灯を点灯してサイレンを鳴らしていたにもかかわらず、2-3分ごとに止まらなければならなかった。車道を走る車よりも、歩行者が協力しないケースが多かった。東大門駅近くの交差点では、小型トラック3台が次々に消防車を追い越して行った。消防車の車列の間にちゃっかり入って走る車もあった。
消防車は徐々にのろのろ運転になっていった。片側2車線の道路では、片方の車線は道路沿いの店に荷物を降ろす車両やオートバイに占領されていた。ある男性は、消防車が来るのに気づいても、道路に立ってトラックから荷物を降ろしていた。
消防車に道を譲る場合には要領がある。道路で消防車に気づいたら、まず道路の端に寄って徐行する。一方通行の場合は道路の右側に車を止め、交差点ではハザードランプをつけて右側に停止する。歩行者は消防車が通り過ぎてから道を渡る。昨年12月に改正された消防基本法では、消防車に道を譲らないドライバーには最高200万ウォン(約20万円)の過料が課せられることになっている。