「私たちは忘れていません。どうか元気を出してください」

 12日午後1時、ソウル市西大門区内のカフェ。ある韓国陸軍将校がキム・ハンナさん(44)の手を握って慰めの言葉をかけた。キム・ハンナさんは2002年の第2延坪海戦で戦死したハン・サングク上士の妻だ。この将校はテーブルの上に置かれたTシャツを1枚手に取った。黒いTシャツの上にオオワシの白いマークがはっきり描かれていた。オオワシは同海戦で沈没した韓国海軍艦艇「チャムスリ(オオワシ)357号」を象徴するマークだ。キム・ハンナさんは涙を浮かべ、「ありがとうございます。忘れないくださって…」と言った。第2延坪海戦では02年6月29日、西海(黄海)の延坪島付近で北朝鮮警備艇の先制攻撃により始まり、韓国海軍兵士6人が戦死した。

 キム・ハンナさんは12日から二日間、「第2延坪海戦追悼バザー」を開催した。昨年に続き2回目だ。このバザーにはキム・ハンナさんが作ったTシャツ、バッグ、バッジを買うため現役軍人をはじめ会社員や大学生など数百人が訪れ、広さ130平方メートル(約40坪)のスペースは大変混雑した。準備したTシャツ400枚のうち300枚が初日に売れ、翌日午後までの物品販売額は500万ウォン(約50万円)を超えた。キム・ハンナさんは「昨年は二日間で売上が200万ウォン(約20万円)だったが、今年こんなに大勢の方々が来てくださるとは思わなかった」と言った。キム・ハンナさんはこのお金で兵士たちのための用品を購入し海軍に寄付するつもりだ。

 入場者は全国各地から集まった。現役陸軍兵士だというイさん(31)は、前日に釜山の部隊から外泊許可を得てきた。イさんは「ほとんどの国民が第2延坪海戦を忘れてしまったようで残念だ」と語った。釜山で病院を経営している医師パク・キウォンさん(51)は「あまり人が来ないような気がして、『私が行こう』という気持ちで来た」と言った。パクさんはそれぞれ1万ウォン(約1000円)のTシャツとバッグを買い、5万ウォン(約5000円)札で払ったが、おつりは受け取らなかった。バザーでボランティアをする大学生もいた。大学生イ・スンウさん(24)は無償でこのバザーの様子を映像に収め、遺族に渡した。

 昨年のこのバザーには海軍も参加したが、今年は参加しなかった。バザーで保守系の漫画家がサイン会を開くという話を聞き、「参加するのは適切ではない」と判断したためだ。海軍関係者は「6月29日に京畿道平沢市で海軍第2艦隊による正式な追悼式典が開催される」と述べた。

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