軍や警察が多くの島民を虐殺した「済州4・3事件」70周年記念事業を担う市民団体の集まり「記念事業委員会」が7日午後、ソウル市鍾路区の駐韓米国大使館前で反米デモを行い、米朝平和協定締結や韓米合同軍事演習の永久停止などを要求すると発表した。同委員会には「全国民主労働組合総連盟(民労総)」など103の団体が含まれており、今年の政府予算30億ウォン(約3億円)を支援されている。同委員会が行う約40の今年の記念事業の1つが反米デモなのだ。同委員会の公式ホームページには引き裂かれた星条旗と共に「北朝鮮に対する敵対政策廃棄」「済州4・3虐殺の真犯人・米国は直ちに謝罪せよ」などのスローガンが掲げられている。7日の反米デモは同委員会のほかに30団体が参加するという。その中には大法院(最高裁判所に相当)で利敵団体と規定された「祖国統一汎民族連合(汎民連)南側本部」も含まれている。この団体はこれまで「連邦制統一」「国家保安法廃止」「在韓米軍撤退」などを主張してきたが、最近は「米朝同時核軍縮」「韓半島(朝鮮半島)全域非核化」なども訴えている。これらはすべて北朝鮮政権が主張しているものと同じ内容だ。

 済州4・3事件が起きたのは米軍政時代だったため、「米国の見解表明が必要だ」という声はこれまでもあった。しかし、このように北朝鮮の対米非難と区別が付かないほどの内容で反米デモを繰り広げるようなことではない。4・3事件は南朝鮮労働党の武装暴動を韓国の軍警が鎮圧する際、民間人犠牲者が多数発生した事件だ。軍警の鎮圧が行き過ぎていたために発生した民間人の犠牲についてはいたわり・謝罪・補償が必要だ。だが、この事件を起こした南朝鮮労働党の主導勢力はその後、北朝鮮へ渡り、北朝鮮政権に参加して最高人民会議の代議員などになった。それにもかかわらず、4・3事件記念事業団体では反米デモを計画し、そのデモに利敵団体まで参加するのが、今の韓国社会の現実だ。これに問題提起すれば、政府は「古い理念の屈折した見方だ」と言うだろう。

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