韓国大統領府の参謀らは、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が中国から帰国した翌日の17日、大統領訪中期間中に浮上した「冷遇論」の火消しに一斉に乗り出した。大統領府関係者は「歪曲(わいきょく)された情報や情報不足から生じた誤解を正すもの」と話しているが、その過程でも別の「間違った情報」を発信する一幕があった。

 大統領府関係者らは16日夜、文在寅大統領が帰国する飛行機の中で記者懇談会の開催を要望した。機内懇談会は通常、大統領府側と担当記者たちの協議で決まるが、同日の機内懇談会は大統領府が一方的に進行した。ある高官は中国側による韓国人記者暴行について「とても胸が痛む。事実、涙が出るほどだった。気持ちがカッとなった」としながらも、「これまで終末高高度防衛ミサイル(THAAD)問題で気まずい雰囲気になっていた両国首脳だが、今回の訪中でこれを完全に克服した。韓国の安保面での利益を確実に保護しつつ、中国に理解を求めた。韓国の立場をしっかりと守った」と述べた。

 文在寅大統領が訪中期間、中国側関係者と2回しか食事していないことに対する反論もあった。別の関係者は「トランプ米大統領も韓国に来た時、我々と1回食事をした。それなのに、今回のように『(文在寅大統領が)一人飯(をしている)』という表現が使われるのは理解できない」とした。しかし、トランプ大統領は先月7日に訪韓した当日、昼食会と晩さん会で文在寅大統領と2回食事を共にし、翌日午後1時ごろ、北京に向かった。このため、3泊4日間の今回の文在寅大統領訪中と1泊2日間のトランプ大統領訪韓は比較にならないという指摘もある。

 中国側が写真を公開せずに問題になった国賓晩さん会と文化行事についても追加説明があった。大統領府の金顕哲(キム・ヒョンチョル)経済補佐官は17日、大統領府のフェイスブック放送で、「今回の晩さん会は、トランプ大統領を招いた晩さん会が行われた(人民大会堂の)金色大庁で行われたが、これまでの歴代(韓国)大統領は一度もそこでもてなされたことがない」と述べた。しかし、2013年の朴槿恵(パク・クンヘ)大統領訪中時の国賓晩さん会もそこで行われている。発言が事実と異なることが明らかになると、大統領府は「前政権でも行われたことがある」と訂正した。大統領府は「文在寅大統領と中国の習近平国家主席は会談や晩さん会などで計5時間にわたり緊密に対話した」と述べた。だが、ある出席者は「晩さん会では酒がかなりあったが、両首脳は酒を飲まずにで会話に集中していた」と語った。

 金顕哲補佐官は「(韓国経済が)2.8%成長すれば、THAAD(問題)解消によりさらに0.2ポイント成長して3.0%成長するという基盤を今回整えた」と述べた。「なぜあえて年内に中国を訪問しなければならなかったのか」という質問に、同補佐官は「THAADによる経済的損失は1日300億ウォン(約30億円)だった。その損失を考えると、今回の訪中は非常にうまくいった」と答えた。

 韓国国内で「冷遇論」が浮上すると、大統領府は16日から現場でインターネットを通じて写真を提供し、早い段階から火消しに乗り出していた。大統領府はこの過程で、文在寅大統領が中国・重慶に到着した15日、重慶の夜景の写真を掲載し、「重慶ではいつもは夜に明かりを消しているが、文在寅大統領の訪問に合わせて都市を明るく照らして歓迎した」として洪崖洞一帯の写真をアップした。この説明だけを読むと、重慶は普段は夜、明かりを消しているものと解釈できる。ところが、大統領府のフェイスブックには「重慶はいつから夜間に明かりを消すようになったのか。普段と同じであることは分かる人には分かる」「外国の話だからと言ってうそをついてもバレる」と批判の書き込みが相次いだ。重慶は洪崖洞をはじめ夜景が有名な都市だ。こうした批判が相次ぐと、大統領府は17日、「実際に重慶は夜景が非常に有名だが、夜10時になるとすべて消灯となる。しかし今回は韓国大統領が通り過ぎるまで明かりをつけておくようにという話があり、明るかった」と補足説明した。

 

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