裁判
米で落札した朝鮮王朝の宝物、古美術商の所有権認めず=ソウル中央地裁
韓国の古美術商が米国の競売サイトで落札した朝鮮王朝ゆかりの石製の印章について、韓国の裁判所が古美術商の所有権を認めない判決を下した。
問題の印章は、専門家の鑑定で朝鮮王朝第16代国王仁祖(インジョ)の継妃である荘烈(チャンリョル)王后ゆかりの宝物で、1676年に製作されたものであることが判明。古美術商は昨年9月、国立古宮博物館に2億5000万ウォン(約2450万円)で買い取りを求めた。
しかし、博物館側は今年1月、「6・25(朝鮮戦争)当時に盗難に遭い、米国の競売サイトで不法に取引されたものだ」として、現物を返還せず、古美術商が提訴。ソウル中央地裁は30日、原告敗訴の判決を言い渡した。
問題の工芸品は正方形の印章の上、頭をもたげた亀が乗っているもので、古美術商は米競売サイトで73回の競合の末、9500ドル(約105万円)で落札。1400万ウォンの費用をかけ、韓国に持ち込んだ。
ソウル中央地裁は判決で「国(博物館)は原告に代金を支払う必要も現物を返還する必要もない」と指摘。古美術商が落札した当時、現物は米バージニア州にあったため、同州の法律に従うべきだとした上で、同州の法律は盗品であることを知らずに購入した物品の所有権を認めていないと判決理由を説明した。
韓国の民法は盗品であることを知らず、正常な取引で購入した人の所有権を保障している。しかし、原告は米国での競売で落札したため、韓国の民法ではなく、米国現地の法律が優先して適用されるとの見解だ。