話題の一冊
「韓国に謝ろう」 書名で釣る日本の極右作家
『今こそ、韓国に謝ろう』というタイトルだけを見て「日本が謝罪する内容」と思ったあなたは、著者にまんまと釣られている。「踏みにじられた朝鮮半島」「伝統文化の破壊」といった章立ても誤解を呼ぶに十分だ。本を紹介する短い一文も誤解を招く。「これで日韓問題は完全に解決する。楽しみながらサクサク読めて納得できる、まったく新しい『韓国大放言』」
著者の百田尚樹(61)は50歳のとき、太平洋戦争末期の特攻隊を美化した小説『永遠の0』を書いて有名になった。今では指折りの極右作家だ。性暴行事件が起こると「在日がやったんだろう」と言う人物だ。
本書の内容は「(何かを)してあげてごめんなさい」と要約できる。「自分たちが勝手に近代医療技術を朝鮮に伝えて平均寿命を伸ばしてごめんなさい」「自分たちが勝手に学校をあちこちに建てて教育してごめんなさい」「勝手にインフラを整備してごめんなさい」というように。植民主義を正当化する、典型的なパターンだ。
しかし、冷めた反応を示す日本人も多い。紀伊国屋書店のウェブページには「木に謝ろう。こんな本に使ってしまって」「こんな作家のせいで日本が駄目になる」といった声も多かった。