刺激的な行動を取る5歳程度の子どもたちを撮影した動画がネット上で人気を呼んでいる。大人たちが児童用のインターネット放送で制作したものだ。「いくら演出されたものであったとしても、動画に出演したり、こうした動画を見たりした子どもたちは、情緒的に虐待される恐れがある」というのが専門家たちの指摘だ。

 こうした動画は、動画共有サイト「ユーチューブ」に人気動画として掲載されている。人形の「コンスニ」が車のタイヤにひかれて手足が抜けてしまう。人形の顔はもはや原形をとどめていないほどだ。これを見守っていた幼い女の子が顔を覆って泣いている。同映像は、動画に出てくる子どもの親がインターネット放送用に撮影したという。粗筋は、人形をひき逃げした「犯人」を探し出し、あだを討つといった内容だ。動画に付いたレスは、そのほとんどが「人形が引きちぎられるのを見て、どれほど驚いただろうか」「子どもを虐待するのと同じだ」といった内容だった。同インターネット放送には、ベビーカーに座って赤ちゃんのように行動するよう求める大人に、子どもが哺乳瓶を投げ付け、つばを吐き掛けるといったシーンが登場する。昨年10月にユーチューブに開設された同番組の購読者数は現在81万人で、動画がアップされるたびにアクセス数は500万を突破する。

 ユーチューブなどのインターネット放送では、小学生以下の子どもたちを主人公として登場させる動画が人気だ。ユーチューブによると、昨年国内のユーチューブにおける子ども関連のコンテンツの視聴時間は、前年に比べて約2倍に増えた。ユーチューブで人気番組として知られるようになると、制作者はかなりの額の収入を得ることができる。ユーチューブは動画の掲載者に広告収益の55%を配分しているが、通常ではアクセス1件に付き1ウォン(0.1円)の収入が発生する。人気を集めているユーチューブ・キッズ放送は、全動画の累積アクセス数が1億ヒットを超え、毎月の収益も数千万ウォン(数百万円)に上る。

 より多くの視聴者を獲得するために、大人が子どもに刺激的な行動を取るよう求める動画が多い。ある動画では、自称「母方の叔父」という大人が、6歳の子どもにわさびのお菓子とポテトチップをラーメンに混ぜて食べさせた。子どもはこれを食べるのを嫌がった。この動画は、50万アクセスを突破した。ある動画には、子どもが実際に自動車の運転席に座り、アクセルを踏み、運転させる危険なシーンが盛り込まれていた。

 こうした動画の視聴者は、ほとんどが出演している児童と同年代だ。あるエンターテインメント会社の関係者は「視聴者について調査したところ、インターネット・キッズ放送を見るほとんどが10歳未満の子ども」という。5歳の息子を持つチョさん(44)は「子どもが毎日見るユーチューブに同年代の子どもたちが出ているのを見て、教育的なコンテンツだと思っていたが、映像の中で子どもが虐待されていた」と驚きの様子を語っている。動画に出てくるスラングも問題だ。動画に登場する大人たちがスラングと悪口を乱発し、子どもがこれをまねているのだ。

 こうした動画に周期的にさらされることは、子どもには一種の「情緒的虐待」となる。慶煕大学児童家族学科のチョン・ギョンヒ教授は「子どもは初めのうちは精神的なショックを受けるが、その後は日に日に扇情的なシーンに慣れ、やがてまねするようになる」とした上で「結局これは子どもを情緒的に虐待することと何ら変わらない」と警鐘を鳴らす。海外は、児童がインターネット放送を通じて虐待を受けることに敏感だ。今年4月、人気のユーチューブ放送「ダディー・オブ・ファイブ」を制作する米国のある夫婦は、子どもをせきたてながら泣かせるシーンを放送したことで、二人の子どもの養育権を剥奪されている。

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