▲17日午後、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が就任前によく来ていたというソウル市鍾路区付岩洞のコーヒー専門店。店内には「文ブレンド」のコーヒーを紹介する案内板があった。これは、文大統領がよく飲んでいた数種のコーヒー豆をブレンドしたもので、大統領就任後に「文ブレンド」として発売されて人気を呼んでいる。写真=オ・ジョンチャン記者

 50席ほどの店内は、ほぼ埋まっていた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領がよく飲んでいた「コロブエグア4321コーヒー」が飲めるといううわさを聞いて集まった人々だ。

 17日午後1時、ソウル市鍾路区付岩洞にあるコーヒー専門店「クラブ・エスプレッソ」。同市広津区からはるばる来たというパクさん(68)は、「『文在寅コーヒー』がすごく話題になっているので、友達3人と一緒に来た。知り合いたちが『文ブレンド(blend=異なる産地・種類のコーヒー豆を混合すること)の味はどうだった?』と聞いてくるので大変だ」と言った。

 この店を経営するマ・ウンシクさん(50)は大統領選挙投票日だった9日、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「フェイスブック」に「(常連客の文大統領は)いつも『コロンビア産4、ブラジル産3、エチオピア産2、グアテマラ産1』の割合でブレンドしたコーヒーを飲んでいた」と書き込んだ。ネットユーザーたちはこれら産地の名前の頭文字を取った「コロブエグア4321コーヒー」に爆発的な関心を寄せた。これを求める客が増えたのを受け、同店では11日から「文ブレンド」を正式メニューにした。すると、客は2倍に増えた。 このため、「文在寅コーヒー」を売る店も韓国各地に相次いで登場している。

 コーヒーだけでなく、文大統領にちなんだ商品が人気を呼んでいる。文大統領を表紙に掲載した米国の時事週刊誌「タイム」アジア版は15日の発売以降、3回にわたり計11万部印刷された。販売代理店側は「普段の書店出荷数2000-3000部に比べて数十倍に当たる数字だ。このうち10万部が既に売れたと見ている」と語った。文大統領の自伝『運命 特別版』は教保文庫やYES 24など大手インターネット書店の週間ベストセラー1位に浮上した。

 人気アイドルのように大統領のファンクラブが独自製作した商品にも注文が殺到している。文大統領のファンクラブ「ジェントル在寅」が販売している卓上カレンダーは購入希望者が殺到、一日で1万部売れて品切れになった。このカレンダーは昨年12月にファンクラブ側が撮影した写真を使って製作、会員たちが共同購入したものだ。ところが最近になって、「大統領のカレンダーを買えないか」という問い合わせが相次いだため、追加製作を開始した。一日に購入希望者約4000人が殺到、500部の予定を1万部に増やした。ある購入希望者(27)は「文大統領を支持するという意思表示をしたくてカレンダーを購入した」と語った。

 大統領の人気に便乗して行き過ぎた商売をしているとの指摘もある。「文ブレンド」レシピを公表したマ・ウンシクさんは「この割合は(コーヒーを手がける大手食品メーカー)東西食品関係者や釜山のコーヒー店「GABIBANG」の関係者など、ごく少数の人しか知らない」と言っている。しかし、ソウル市内のあるコーヒー店経営者(38)は「今はあまり使われない古いブレンド方式だ。大統領の人気に支えられている商売に過ぎない」と言う。東西食品関係者も「会社の中心的な人物だけが知る『黄金比』というものでは全くない」と語った。光云大学のイ・ビョングァン教授(消費者心理学)は「(朴槿恵〈パク・クネ〉前大統領の)弾劾問題以降、市民の政治に対する関心が高まっており、文大統領の庶民的イメージも相まって一般の人々が身近な関連商品を消費しているのだろう」と分析している。

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