19日夕、ソウル市内で警察官を私製の銃により殺害したソン・ビョンデ容疑者(46)について、計画的に犯行に及んだという見方が出ている。同容疑者は20日、警察の取り調べに「自分で銃を作り、鉄製の弾を込めておいた」と、銃撃して殺害する意図があったことを認めた。警察が同容疑者の自宅を家宅捜索したところ、火薬を抜き出した玩具用爆竹の殻が数十個発見された。この火薬は鉄製の弾を発射するために使用されたと警察では推定している。

 ソン・ビョンデ容疑者が撃った弾で死亡したキム・チャンホ警衛(54)=警部補に相当=を司法解剖した国立科学捜査研究院は同日、「死因は内部臓器の銃傷」という第1次所見を発表した。ソウル北部地検は同容疑者について、殺人・電子機器装着法違反などの疑いで拘束令状を請求した。

 ソン・ビョンデ容疑者は犯行現場になった梧牌山トンネル(ソウル市江北区)近くにある2坪余りの小さな部屋でこの2年半、一人暮らしをしていた。近所付き合いはほとんどなく、「引きこもり」状態だったという。同容疑者と同じ建物で暮らしていた50代の男性は「普段から印象が良くない感じだった。あいさつはあまりしなかった」と語った。近所の小売店経営者(53)は「よく店に来たが、会話を交わした記憶がない」と言った。

 また、性的暴行など前科7犯のソン・ビョンデ容疑者は警察に対してゆがんだ被害者意識を持っていたことが分かった。地元の住民センターの関係者は「ソン・ビョンデ容疑者はここに来て『生活が苦しい』『警察のせいで仕事も見つからない。腹が立つ』と話していた」と語った。同容疑者はソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の自身のアカウントに「警察はオレに殺人のぬれぎぬを着せようとしている」「オレを監視する警察はただでは置かない」などと頻繁に書き込んでいた。「腐敗親日(植民地支配をした日本に賛同・協力する)警察が電子足輪装着のため再度逮捕しようと、おとりの女を使って性的暴行を振るわせようと誘導しているのが現実だ」という書き込みもあった。

 ソン・ビョンデ容疑者は、自身が出版社関連の仕事をして、韓日関係の歴史書を書いたと自慢していたという。事実、同容疑者は2014年に『大地震と侵略戦争』『大地震と征韓論』など3冊を出版している。同容疑者は著書で、自分自身のことを「韓国史・日本史・世界史・犯罪心理学などに精通している」と紹介している。しかし、これらの本は「正規の出版社から出版されたものではなく、同容疑者が自費出版したものと推定される」と警察では話している。出版社の所在地が、同容疑者が暮らす部屋のある建物の住所になっているからだ。また、同容疑者は「最終学歴は高卒だ」と警察に話しているとのことだ。逮捕された時に実弾が当たり、腕が貫通するけがをしたが、「自分の体のことは自分がよく知っている」と、治療を拒否している。精神科専門医のチョン・チャンスン氏は「現実と妄想の中の世界を区別する『現実検証力』が損なわれ、被害妄想の症状を呈している可能性が高い」と分析している。

ホーム TOP