#1. 主婦のソン・ヨンスンさん(74)は、今年の秋夕(チュソク=中秋節)の際に祭事を終えてさじと箸を取ったところ、年下の同壻(夫同士が兄弟)から次のような言葉を聞いた。「お姉さん、ずいぶんと勇気のあることするんですね。最近ではしゅうとめが食事するのは『嫁が認証ショット(スマートフォンで写真を撮ること)を撮ってから』という話、聞いたことないんですか」その言葉に驚き周りを見回したところ、案の定長男の嫁がスマートフォンで料理の写真を撮っているところだった。その場にいた全ての親戚に笑われ、ソンさんは顔が赤くなったという。「今では祭壇の食べ物まで写真を撮らなければならないなんて、何だか変な世の中になったものだ」とソンさんはつぶやいた。

#2. 退職した銀行員のキム・ヒョンウォンさん(68)は最近、義理の姉の葬儀があり、しばらくの間一人寂しく過ごしていた。ようやくのことで元気を取り戻し、久しぶりにインターネットにアクセスしたところ、婿が「今日は悲しい日」と葬儀の写真を撮影し、フェイスブックにアップしているのを目にしたのだ。葬儀でキムさんが弔問客と互いに向かい合ってお辞儀している様子を撮ってアップしたのだった。キムさんは「到底理解できなかったし、正直頭にも来た。最近の若い子たちは写真を撮ってネット上にアップするのが好きなことは知っていたが、葬儀場でまで認証ショットを撮らなければならないのか」と興奮した様子で話した。

 「認証ショット」の時代、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)にアップする写真のせいで、親子間で互いに誤解を招くことが少なくないという。食べ物の写真、旅行の写真、新たに買った服や靴の写真がネット上にあふれるところまでは親の世代もある程度適応していたが、祭礼や祭祀(さいし)、葬儀、お祈り集会といったような所でまで写真を撮ってネット上にアップするため、互いに気分を害したり恥ずかしく思ったりするケースがあるというのだ。実際にフェイスブックやインスタグラム、カカオストーリーのようなSNSでシャープ(#)を活用し「葬儀」「祭礼」「祭祀」といったキーワードを検索してみると、関連する写真が多いときで数千件、少ない場合でも数百件はヒットするのが確認できる。「葬儀場での自撮り」「お祈り集会での自撮り」「祭礼での自撮り」のような検索ワードも見受けられる。伝統的に最も厳粛で厳かな場所でさえも認証ショットを撮ってアップするような時代になったのだ。中央大学社会学科のイ・ナヨン教授は「SNSそのものが生活の一場面を切り取って誇張して見せ、これを展示することではないか。いつの間にか私たちが受け入れなければならない生活の断面と化してしまった」と説明する。

 しかし、親の世代は相変わらずこうした認証ショット文化に不慣れで、これを負担に感じている。慶煕大学児童家族学科のユ・ゲスク教授は「親の世代は理解しがたいことだが、最近の子どもの世代ではこうした文化が相当重要な社会疎通の過程であることを受け入れなければならない。後先構わず小言を言うよりも『ここは認証ショット禁止区域』と冗談を交えて礼儀を教えるのも一つの方法」とアドバイスした。

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