事件・事故
行方不明のペット犬、住民4人が食肉処理 /全羅北道
「10年も飼っていたペット犬が骨だけになって戻ってきた。私には家族のような子だったのに、どうしてこんなことができるのか」
韓国南西部の全羅北道完州郡に住むAさん(33)は先月29日、警察からの電話を受けてその場に座り込んだ。「行方不明になっていたペット犬を住民が捕まえて食べたようだ」と言われたためだ。
事の発端は先月26日、Aさんが飼っていた10歳のオールド・イングリッシュ・シープドッグ、ハートが午前2時ごろ家を出たことだった。夜が明けてもハートが戻ってこなかったため、Aさんは情報を求めるビラと横断幕を作ってあちこちに掲載し、警察にも失踪(しっそう)を届け出た。
警察は同28日、完州郡の隣、益山市の路上で60-70代の男性4人が1匹のイヌを引きずっていくのを防犯カメラの映像から確認した。Aさんの自宅から4キロほど離れた場所だった。警察の調べによると、4人は路上にいたハートを1トントラックに載せて公民館に運び、そこで食肉処理して肉(40キロ)を分け合ったという。
ハートの遺骨を受け取ったAさんは「家族が殺された気分」と、事件の周知に乗り出した。4人の厳しい処罰を求めるAさんのブログの書き込みには、5日までに1万件余りのコメントが付いた。「一見してペットと分かるイヌを捕まえて食べるなんて、人間じゃない」「野蛮だ」など、4人を批判する意見が大半だ。Aさんの投稿がソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じて広がり、益山警察署の自由掲示板には食べた住民の処罰を求める書き込みが1000件近く寄せられた。
だが、他人のペットを食べる行為を重く処罰することはできない。現行法上、行方不明になったペットは生命体ではなく「物」として扱われるためだ。警察は4日、ハートを食べた住民4人を占有離脱物横領の容疑で調べていると明らかにした。占有離脱物横領罪は他人が落としたり失くしたりした物を自分の物にする罪だ。
ネット上では「家族が殺されたも同然の精神的ダメージを受けているに違いないのに、占有離脱物横領とはあんまりだ」と、法改正を求める署名運動が起きている。食べた住民らは警察に対し「路上で大きなイヌが死んでいるという話を聞き、捕まえて分け合ったが、問題になるとは思わなかった」と供述したとされる。