人気小説家の申京淑(シン・ギョンスク)氏(53)=写真=の長編小説『母をお願い』が盗作だとして訴訟を起こされた。法曹界関係者によると、エッセイストのオ・ギルスン氏(67)が今年6月、申京淑氏と出版社「創批」を相手取り「『母をお願い』の出版を差し止め、それぞれ1億ウォン(約900万円)、計2億ウォン(約1800万円)を賠償せよ」と訴訟を起こしたという。この件はソウル中央地裁民事第13部(キム・ヒョンリョン裁判長)が審議しており、8日に1回目の裁判が行われた。

 オ・ギルスン氏は「2008年に出版された『母をお願い』は、01年に出版された私の随筆集『牧童はその後どう生きたのだろうか』に収録されている随筆『思母曲』の盗作だ」と主張している。『思母曲』は行方不明になった認知症の母親を探す過程で、母親の若いころや子どもへの思いを考えるようになるという話だ。オ・ギルスン氏側は「モチーフや構想、表現などにおいて非常によく似ている」と主張している。

 しかし、申京淑氏と「創批」側は「『母をお願い』は申京淑氏が自ら構想したものであり、別の特定の作品を読んで盗作したものではない。行方不明の高齢者の届出件数が年間数千件という状況で、行方不明になった母親を娘が探し回るという内容だけをもって(ほかの人は思い付かない)独創的なアイデアだと見なすのは難しい」とコメントした。

 申京淑氏の短編小説『伝説』は以前、盗作だとして検察に告発されたが、嫌疑なしとなった。これは、韓国社会問題研究院のヒョン・テクス院長が昨年6月、「申京淑氏が1996年に発表した『伝説』は日本の有名小説家・三島由紀夫の『憂国』を盗作し、出版社『創批』の業務が妨害を受けた」と告発したものだ。しかし、検察は今年4月「『創批』側から先に申京淑氏に出版をオファーしたため、申京淑氏が『創批』をだまして印税を受け取ったとは言えない」として嫌疑なしの不起訴となった。

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