人が一生の間に雷に打たれて死んだりけがをしたりする確率は、どれくらいだろうか。全米落雷安全協会(NLSI)によると、最大100万分の1だという。

 ならば、韓国で1年の間に交通事故で死んだりけがをしたりする確率は、どれくらいだろうか。これは、なんと28分の1。年間の交通事故死傷者数を全人口で割った数字だ。保険会社の統計が合算された韓国警察庁の交通事故統合データベースによると、2014年の交通事故死傷者数は合計180万人近くに上る。これを韓国の人口5000万で割ると、3.6%と出る。おおむね28人に1人となる。56年生きると平均2回ほど、加害者か被害者かはともかく深刻な交通事故に遭うというわけだ。

 交通事故はどれも全て問題ではあるが、韓国の場合、最も深刻で改善を急ぐべきものは飲酒運転だ。交通先進国では「未必の故意による重大犯罪」と認識されており、刑法で厳重に処罰している。ところが韓国では「誰もがやりかねない過失」程度に考えて、かなり寛大な処理をしている。中でも、取り締まりの基準となる血中アルコール濃度は0.05%で、「1、2杯くらいは飲んでもいい」という安易な認識まで広げている。酒が果たして1、2杯で済むだろうか。結局は何杯も続き、ひどい事故を招く。従って「1、2杯は大丈夫」ではなく「1杯たりとも駄目」という認識転換が必要だ。

 このためには取り締まりの基準を、安全先進国のスウェーデン(0.02%)や日本(0.03%)くらいに厳しくするべきだ。日本は、小泉政権時代の2001年に「飲酒運転との戦争」を宣言、取り締まり基準を0.03%と厳しくして、同乗者まで処罰するという強力な政策を展開し、10年間で飲酒運転による死亡事故を78%も減らした。

 そして、多くの飲食店が「車に乗ってこられた方にはお酒を売りません」という案内表示を張り出し、注文を受ける前には従業員が「車に乗ってこられましたか、それならどなたが運転なさいますか」と尋ねて飲酒運転をしないよう念を押すなど、安全文化を定着させている。

 安易な飲酒運転文化による犠牲の隊列からは、私も、そして私の家族も例外になり得ない。酒を飲んでも結局ハンドルを握ってしまったら、その酒がこの世で最後の酒になりかねず、あの世に行く無念の同伴者までつくり出しかねない、ということを肝に銘じよう。

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