現代グループ創業者一族の3世、鄭日宣(チョン・イルソン)現代BNGスチール社長が運転手に暴行・暴言を日常的に加えていた事実が、元運転手らの証言で明らかになった。会社側は、A4用紙140枚分もある「随行運転手マニュアル」を作っていた。マニュアルを守らないと、鄭社長は口に出すのもはばかられる暴言をぶちまけ、拳で頭を殴ったという。

 マニュアルの内容は、とんでもないこと極まりない。「行こう」と言われたら稲妻のように走り、出発30分前から待機し、ヴィラ(低層マンション)に入る時は、奥様の睡眠を妨げることになるので呼び鈴を鳴らしてはいけない。鄭社長が早く行こうというときは、危険のない範囲で信号・車線・バス専用車線を無視せよという内容もある。マニュアルを守れないと罰点があり、罰点の累積によっては精神教育・けん責・減俸・退職措置が取られたという。

 財閥2世・3世の傍若無人な振る舞いが次々と明らかになっている。いちいち全て取り上げる必要もない、全く目も当てられない状況だ。財閥2世・3世は、先人の積み重ねたものを生まれながらに受け継いだ人々だ。幼いころから、かしずかれることに慣れ、他人の感情を傷つける言行を自制する基本的エチケットすら会得できていないケースが多い。

 社員が貴いとも、他人に配慮すべきだとも思わない人間が、どうして巨大組織を率いて数多くの消費者の共感を引き出すことができるだろうか。既に「金のスプーン(苦労知らずの金持ちの子弟)」対「土のスプーン(貧乏人の子弟)」という社会の不平等に対する不満が、首のところまでせり上がってきている。そのうち、財閥2世・3世について、きちんとした人間性教育を受けたと立証された場合に限って企業を受け継がせる法律を作ろう、という主張が出てくるかもしれない。

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