18日午後10時12分ごろ、済州発清州行きの大韓航空国内線1958便(機種ボーイング737)が清州空港に着陸しようとしたところ、中国南方航空の清州発大連行き8444便(エアバス319)が誘導路から滑走路に進入してきて急停止し、わずか10メートルの距離で衝突を回避する事故があった。

 大韓航空機のクァク・チュホン機長は、時速150メートルで滑走路を1300メートル滑走した時点で、南方航空機が右側誘導路から滑走路に進入してくるのを視認したため、機種を左に振り、南方航空機も急停止し、衝突を避けた。滑走路の幅は60メートルに対し、大韓航空機の機体の幅は35.8メートルで、両機の間隔は10数メートルにすぎなかった。大韓航空機には乗客・乗員137人、南方航空機には90人が乗っていた。

 カトリック関東大航空経営学科のキム・ヒョジョン教授は「大韓航空機が南方航空機を視認した当時の速度で急操作すれば、バランスを失い、機体が滑走路を外れる危険性があった。機長が熟達しており、冷静な対処で大惨事を避けることができたのではないか」と分析した。

 韓国国土交通部(省に相当)は19日、今回の事故を航空法上の「準事故」と位置づけ、調査を開始した。現時点では南方航空機の機長が管制塔の指示を無視し、滑走路に進入したとの見方が有力だ。

 国土交通部関係者は「南方航空機の機長は管制塔の指示を誤解したか無視した可能性もある」と語った。キム教授も「通常は機長が管制塔の指示を復唱することになっているが、しっかりと履行していれば防ぐことができるトラブルだ」と指摘した。

 管制塔の指示を誤解または無視したことによる滑走路誤進入事故はこれまでにも多数起きている。国土交通部によれば、2011-13年に韓国国内で起きた管制指示違反事故27件のういち、滑走路・誘導路侵犯事故が10件で、事故種別で最多だった。国土交通部は南方航空機に違法事項が指摘された場合、中国航空当局に関係者の処罰などを求める方針だ。

 ただ、管制塔が誤った指示を下した可能性もあるため、国土交通部は空軍のレーダー資料、交信記録、滑走路の監視カメラ画面などの提出を求めた。大韓航空と南方航空にも機長の事情聴取記録と交信記録の書き起こしを提出するよう求めたが、南方航空は回答しておらず、調査が難航している

 国土交通部は「南方航空の資料提出が遅れるほど、原因究明も遅れざるを得ない」と説明した。国土交通部は南方航空の機長に韓国への出頭を求めるか、調査官を中国に派遣することを検討している。

 清州空港の構造的な問題に改善を求める声もある。清州空港の滑走路は2本だが、民間機は1本のみを利用して離発着している。誘導路も民間機専用は1本だけで、しかも短く、滑走路侵犯が起きやすい構造となっている。清州空港では昨年5月にも先に着陸した軍用機が滑走路から完全に離脱する前にイースター航空機が着陸する準事故が起きている。

 清州空港の国際線利用客は85%が中国人だ。航空業界関係者は「中国の航空会社を対象に追加的な安全システムを整備しなければ、再発の可能性がある」と指摘した。

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