「少女たちは異郷で寂しく死んでしまった。映画ででも故郷に連れて行ってあげたいという思いが強かった」

 チョ・ジョンレ監督(42)は4日午後、ソウル市中区で行われた映画『鬼郷』(24日公開)のメディア試写会で、「この映画を作る時、(元慰安婦の)姜日出(カン・イルチュル)さんが美術心理治療中に描いた『焼かれる少女たち』の絵を見て大きな衝撃を受けた。慰安婦に関する話は人権に関する話ではないか。この話は続けていかなければならない状況だと思ったので、映画を作ることにした」と語った。『鬼郷』の脚本・演出・制作を手がけたチョ・ジョンレ監督は、2002年に元従軍慰安婦が暮らす「ナヌムの家」にボランティア活動をしに行って慰安婦被害者の女性たちに会った。10年以上にわたりそうした女性たちの証言を聞き、それを基に映画を作った。映画に投資してくれるスポンサーがいなかったため14年間にわたり脚本に手を入れ、全国民を対象に後援を受け付ける「クラウド・ファンディング」方式で製作費を集めた。

 映画は、1943年に14歳だった少女ジョンミン(カン・ハナ)が何も分からないまま日本軍の手で連れて行かれ、家族と離ればなれになり、戦場の真っただ中に放り込まれた苦しみや痛みを描く。異郷で死んでいった20万人の慰安婦被害者の思いを込めた。先月から米ロサンゼルスを皮切りに、アリゾナ、ニューヨーク、コネチカット大学、エール大学、ブラウン大学、ワシントンなど米国西部地域から東部地域まで広く海外後援者対象の試写会を開いている。チョ・ジョンレ監督は「葬儀でも涙をこらえるという米国人が、映画を見て頭が痛くなるほど泣いたと聞いた。米国にいる日本人留学生が『この映画を日本の人が大勢見てくれたら』というメールを送ってきた」と言った。

 「この映画は、慰安婦被害者を韓日間の問題や政治的議題にしようというものではありません。むしろ、国際的な人権問題として取り上げるべきだと思います。ユダヤ人虐殺のような犯罪の話ではないでしょうか。この映画もそうした次元で見ていただきたいです」

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