米国で韓国の小説の風刺やユーモアが注目されている。米国の名門出版社ダーキー・アーカイブ・プレス(Dalkey Archive Press)が出した「韓国文学叢書(そうしょ)」が週刊誌「ニューヨーカー」の最新号(10月19日付)がきっかけだ。同社は2013年から韓国文学翻訳院(キム・ソンゴン院長)の支援を受け、韓国文学叢書を出版してきた。李光洙(イ・グァンス)=1892-1950年=の「土」をはじめ、韓国の小説14作品を翻訳して出しており、今年末には李文烈(イ・ムンニョル)の「ひとの子」など5作品がさらに出版される予定だ。

 「ニューヨーカー」は時事週刊誌でありながら、ニューヨーク中心の文化批評誌として詩や短編小説も掲載、米国の文壇に影響力を及ぼしてきた。日本人作家の村上春樹をはじめ、海外の有名作家たちの短編も厳選して掲載しており、2011年には李文烈の短編「匿名の島」が韓国の小説としては初めて掲載された。

 「ニューヨーカー」は米国在住の韓国系小説家であり、米ペンギン・プレスの編集長でもあるエド・パクが書いた長文の書評「すませんが、すまなくない(Sorry not sorry)」を掲載した。この書評は韓国では政治・社会的にも会社生活などでも「謝罪」する文化が重要な役割を果たしていると強調する。部下がミスをした時、部下が上司に謝罪するのはもちろんのこと、上司も責任を取るという意味で謝罪しなければならないが、不思議なことに韓国では過去の過ちに対する謝罪要求が繰り返されるというものだ。韓国人が何度も「謝罪しろ」としつこく要求するのは、「悲しみや怒り、絶望が入り混じった『恨(ハン=晴らせない無念の思い)』のためだ」としている。

 この書評は、イ・ギホの長編「謝罪は上手です」(2009年、現代文学出版)を最も大きく取り上げている。保護施設に強制収容された若者2人が、監視員たちに頻繁に殴られることが嫌になり、少しでも殴られないようにしようと、とにかくひたすら謝罪し続けるというストーリーだ。この書評は、主人公たちが施設から社会に出てからは、他人の代わりに謝罪することを生業としていると解釈する。「謝罪が生きる手段から出発して有望な産業になる」という風刺精神を興味深く見つめているのだ。この書評はチャン・ジョンイル、チャン・ウンジン、パク・ミンギュら1990年代以降の作家たちの小説にも注目している。急速な産業化と情報化による混乱をブラックユーモアで描くのが韓国の小説の特徴だとのことだ。

 

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