まるで空から降りてきた宇宙船のようだった。

 15日、ソウル市九老区の地下鉄1号線・九一駅。地上に出ると、銀色の流線型の建物が遠くに見えた。駅から歩いて15分。ついに韓国内初のドーム球場がベールを脱いだ。

 ソウル市は、完成した「高尺スカイドーム(Gocheok Sky Dome)」を報道機関に同日、公開した。同市は「1965年に世界初のドーム球場・アストロドームが米国で誕生、1988年には日本初のドーム球場・東京ドームがオープンした。そして今、韓国に四季を通じて野球ができるドーム球場が生まれた」と、その意義を力説した。ソウル大学野球部と女子野球韓国代表による記念試合(ソウル大が8-4で勝利)も行われた。

■「野球の聖地」解体で誕生

 高尺スカイドームは2009年の着工から完成までなんと2413日もかかった。アマチュア野球の聖地・東大門球場が解体されたのに伴い、当初はその代わりとなるアマチュア専用球場として建設される予定だったが、設計が8回も変更された末にプロ野球用球場になったためだ。屋根を半分かぶせた「ハーフドーム」から完全に覆う「完全ドーム」に変わり、総事業費も増えて408億ウォン(約41億6000万円)から1948億ウォン(約198億8700万円)へと約5倍になった。

 米国の設計専門会社のアドバイスを受けた痕跡があちこちにあった。内野には大リーグ(MLB)で使う「米国産の土」が敷かれた。一般的なものよりも薄い、厚さ1ミリメートルという繊維「ダイニーマ(dyneema)」を使用したバックネットのおかげで、試合が見やすいと感じた。捕手のいる所からわずか14メートルの距離で本革シートに座って観戦できる「ダイヤモンド席」(計304席)も印象的だった。世界で初めてドーム球場の屋根に「透明遮音膜」を設置するなど、騒音対策にも努めたことから、試合中でもドームの外では音がほとんど聞こえなかった。球場を視察したMBCスポーツプラス解説者のイ・ジョンユル氏は「大リーグのスタジアムと比べても引けを取らない」と語った。

 しかし、不十分な点もある。一部内野席は30席以上が一列にずっと並んでおり、その途中で通路に抜けることはできない。列の中ほどに座った観客が試合中に席を離れるには、十数人に了解を求めなければならない状況となる。地下1階にあるブルペンで投球練習を終えてからマウンドに立つには、数十段の階段を上って地上のグラウンドに行かなければならない。空間を最大限に活用しようとしたがために生じた不便さだ。貧弱に見える電光掲示板(横の長さ24メートル)も期待外れだ。これは、社稷球場やKIAチャンピオンズフィールドの電光掲示板(横の長さ各35メートル)よりも小さいものだ。

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