国際総合
サウジ紙「韓国人労働者たちが恋しい」
「サウジアラビア人には、腕が良くて真面目な韓国人労働者たちにまつわる幸せな記憶がある。最近、特にそれを思い出す」
これは、サウジアラビア最大手の英字紙「アラブ・ニュース」が17日「韓国が街にやってくる(South Korea is coming to town)」と題するコラムで、1970-80年代の「中東建設特需」の最前線にいた韓国人労働者を特集した記事の一文だ。コラムの題は、クリスマスソング「サンタが街にやってくる(Santa Clause is coming to town)」をもじったもののようだ。
同紙はこのコラムで「国王(アブドラ国王)はこのほど、病院・高速道路・鉄道・スタジアム・精油施設など全分野にわたり大規模な工事を海外企業に発注したが、そのうち相当数で工期が遅れたり、完成品の質が低かったりと問題が生じた。こうした状況から、1970年代に波のように押し寄せてきた韓国人労働者の第1世代のことが思い出される」と書いた。
そして、当時の状況を「世界初の『韓流』はわが王国から始まったのだ」と表現した。
韓国の建設各社は1973年に初めてサウジアラビアに進出、同国だけで80年代半ばまで毎年最大50億ドル(約5854億円)受注した。ほかにもリビア・バーレーン・イラクなど中東各国の建設現場で労働者10万人が稼いだ外貨は韓国の高度成長の礎となった。だが80年代後半に原油価格の下落で発注量が急減、「中東ブーム」は去った。
しかし、韓国人労働者たちが残した成果は今でもサウジアラビアの人々に深い印象を残している。当時のサウジ社会で韓国人労働者たちは「安い賃金でよく働く人々」以上の存在だった。このコラムの言葉を借りれば「家は貧しく、国も政治的・経済的に危機にひんしているという悪条件の中にあったが、家族を食べさせていかなければならないという一念で黙々と働いた」というのだ。
サウジアラビアは最近、基幹設備工事を中国・日本・フランス・スペインなどにも発注している。このコラムは「工事費を以前に比べ削っているわけでもないし、最新の工法もいろいろ登場しているのに、完成が遅れ質も落ちる施設を見ると、多くのサウジアラビア人たちが首をかしげている」と書いている。韓国人労働者たちが70-80年代に、工期に合わせて高層ビルや橋・道路などを非の打ち所のないほど丈夫に作ったことに慣れているため、全く納得がいかないというのだ。
このコラムは、韓国の優れた技術の例として「いまも滑らかな首都リヤドの高架道路」を挙げた。それ以降も韓国に発注したものより高い金額で高架道路を作らせたが、質ははるかに劣るという。湾岸都市ジュベイルなど、各地の産業団地も「建設韓流」の象徴に選ばれた。
韓国の建設会社のサウジ進出は2000年代後半から石油化学・発電・淡水化プラント受注の急増により「第2次中東ブーム」へとつながっている。現在、建設会社83社がサウジアラビアに進出し、135件のプロジェクト(合計67兆ウォン=約7兆1000億円規模)を推進している。各社の駐在員・労働者数は約4000人に膨らみ、12年には大韓航空のサウジアラビア直行便が15年ぶりに復活した。このコラムはこうした流れを「韓国が街にやってくる」と表現、期待を見せているのだ。
現地メディアはこのほど「サウジアラビア政府関係者が韓国を訪れ『未完の大規模プロジェクトが完成するよう、韓国人労働者を派遣してほしい』と要請した」と報じた。これについてこのコラムは「サウジアラビアに来た韓国人労働者からできるだけ多くのことを学ぼう。彼らは以前のように『腕が良く真面目だが安い労働力』ではないが、それでも招いてサウジアラビアの若者の模範にすべきだ。天然資源もほとんどないのに『経済の奇跡』を起こし、有数の先進工業国となった韓国には学ぶべきことがたくさんある」と呼び掛けている。