文化総合
日本の知識人ら「金芝河の詩に体が凍り付いた」
「韓国の『知』に関する本を1-5冊選んで、それについての話を2000字程度でまとめてください」
韓国人が韓国人にこう頼んだのであれば、あまり驚かなかったかもしれない。しかし、この頼み事をしてきたのは、日本の野間秀樹際養大客員授だった。野間教授は1年3カ月にわたり、日本の小説家・文芸評論家・出版関係者・言語学者・映画監督に同じ依頼をしてきた。条件は「なるべく手に取りやすい本を選んでほしい」というくらいで、ほかには特になかった。野間教授は2010年に日本で『ハングルの誕生』を出版し、2012年には外国人として初めてハングル学会から周時経学術賞を授与された、知韓派の知識人だ。
野間教授は2日、本紙の電話インタビューに応じ「『韓流』と通称される韓国の映画・音楽・ドラマは、日本で高い人気を集めている」と述べつつも「一方、読んで、聞いて、考え、語る対象としての韓国の『知』については、日本の優れた知識人ですら、自信を持って話すことはできない」と語った。国籍が分からなくなりそうなほど流ちょうな韓国語だった。
知人や出版社などつてを頼って集めた対象者に、合わせて1000通近い手紙や電子メールを送ると、少しずつ返事が集まってきた。その中には、文芸批評家の柄谷行人氏、歴史学者の和田春樹氏、日本で100万部以上が売れた『カラマーゾフの兄弟』(ドストエフスキー著)の翻訳を行った亀山郁夫・前東京外大学長などもいた。
ついでに野間教授は、文学評論家の金炳翼(キム・ビョンイク)氏、白楽晴(ペク・ナクチョン)氏、小説家の申京淑(シン・ギョンスク)氏、成碩済(ソン・ソクチェ)氏、金衍洙(キム・ヨンス)氏、劇作家の李康白(イ・ガンベク)氏、建築家の承孝相(スン・ヒョサン)氏、デザイナーの李相奉(イ・サンボン)氏など、韓国の知識人にも同じ依頼をした。こうして日本の知識人94人、韓国の知識人46人、計140人から得た回答をまとめた著書『韓国の知を読む』(ウィズダムハウス)が、来週韓国でも出版される。韓日の知性が一緒になって書いた「韓国の知性の探究書」だ。日本版は、韓国版に先んじて今年2月に紹介された(原題は『韓国・朝鮮の知を読む』、クオン・知のフォーラム刊)。
日本の代表的な文芸批評家・柄谷行人氏は、韓国の代表的な知性、李御寧(イ・オリョン)氏の著書『〈縮み〉志向の日本人』を選んだ。「この本が私に衝撃を与えた理由は、日本の特性を西洋や中国との差異を通じて導き出す談論が支配的だった時期に、それを韓国との差異を通じて見るべきだと主張していたから」「ぱっと目が覚めるようだった」と柄谷氏は書いた。亀山前東京外大学長は金芝河(キム・ジハ)の詩「不帰」を推薦し「朴正煕(パク・チョンヒ)政権に反旗を翻し、2度も死刑判決を受けた金芝河のことを考えると、体が凍り付きそうだった。韓国には、これほど強い人がいるのか!」という第一印象を告白した。
日本の知識人94人が推薦した韓国関連の図書は264種類に上った。随筆家の金素雲(キム・ソウン)が日本語に翻訳した『朝鮮詩集』『朝鮮童謡選』(7人)や、金芝河の詩・散文(6人)、尹東柱(ユン・ドンジュ)・柳岸津(ユ・アンジン)の詩(いずれも5人)、金重赫(キム・ジュンヒョク)(5人)、韓江(ハン・ガン)(4人)、黄晳暎(ファン・ソギョン)・申京淑(いずれも3人)の小説、イザベラ・バード・ビショップの『朝鮮紀行』や朴裕河(パク・ユハ)の『和解のために』(いずれも4人)などの推薦頻度が高かった。野間教授は「尹東柱、金芝河、李御寧などを除くと重複する本は特にないほど、推薦書の種類は予想よりはるかに幅広く、多様だった」と語った。
韓国の知識人46人も、137種類の本を推薦した。詩人・金洙暎(キム・スヨン)の詩・散文全集や、兪弘濬(ユ・ホンジュン)の『私の文化遺産踏査記』(いずれも4人)、詩人・李箱(イ・サン)の文学全集や、朴景利(パク・キョンリ)の『土地』、文学評論家キム・ヒョンの『韓国文学の位相』(いずれも2人)などが選ばれた。
最近は日本政府の歴史歪曲(わいきょく)問題など、右傾化の影響で韓日関係でも冷え込みの兆候が目立つ。しかし野間教授は「深いところでは、韓日の知識人が知的な連帯と交流の必要性を認識していると信じている。両国の間にこうした共感が存在するとき、より強い力を出すことができる」と語った。