崔宰赫(チェ・ジェヒョク)記者

 フェースブックの創業者、マーク・ザッカーバーグ氏はジーンズとフード付きのスウェット姿がトレードマークだが、18日に大統領府で朴槿恵(パク・クンヘ)大統領に会ったときは、紺のスーツにネクタイを着用し、それなりに気を使っていた。ところが室内では冷房が稼働していなかったため、ザッカーバーグ氏はかなり暑そうだった。朴大統領もその様子が気になったのか「創造経済」について説明する際に「今とても暑いでしょう」と声を掛けた。

 今月14日、朴大統領が中国の唐家セン(センは王へんに旋)元国務委員(外交担当)に会ったときも「冷房」がしばらく話題に上った。大統領府の朱鉄基(チュ・チョルギ)外交安保首席がまず「少し暑いですね。エネルギーを節約するため冷房をストップしているので」と切り出した。スーツ姿の唐氏は「大丈夫です。最近はそれほど暑くはないですから」とその場をやり過ごした。この日、ソウルの最高気温は30度近くを記録していた。

 この夏に入って大統領府はまだ1回も冷房を稼働していない。秘書らが常駐する為民館のオフィスの温度が36度を記録したときも、やはり冷房のスイッチは入らなかった。朴大統領が「節電の率先垂範」を強調しているためだ。

 大統領府の秘書らであれば、この「蒸し暑さの中での勤務」を大統領の哲学として受け入れ、これに無条件で従うしかないだろう。実際に彼らもこの状況を「秘書の宿命」としてすでに容認しているようだ。また国民の中にも苦労して節電に取り組む大統領府に声援を送りたいと考える人もいるだろう。故・朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領が生前によく口にしていた「勤倹節約」(勤勉かつ節約に励む、の意)という言葉を思い起こした人も少なくないはずだ。

 朴正熙元大統領の在任中に海外の軍需品メーカーの関係者が来韓した際、朴元大統領がうちわであおいでいる様子を見て「エアコンを設置してください」と言って巨額のドルを手渡したという。すると朴元大統領が「このドルに相当する武器を譲ってくれ」と言った逸話が一時有名になったこともある。

 しかしスーツにネクタイ姿の外国人が訪問したときにも冷房を入れないとなれば、これはあまりにも融通が利かないと言わざるを得ないのではないか。

 ある元外交官は「外交も一種のセールスだ。こちらが冷房もできない状況であるかのようにわざわざ見せる必要はないだろう」と指摘する。大統領府のある職員は両親から電話で「そんなに暑いところでどうやって仕事ができるのか」と言われたそうだが、これはもう決して人ごとではない。大統領府はむしろ「屋内の適正温度は28度」という基準をしっかりと守り、その上で国内外の山積する課題に取り組む方が、朴大統領が掲げる「創造経済」に見合っているのではないだろうか。

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