世界の国々は観光産業をめぐり「銃声のない戦争」を繰り広げている。米紙ワシントン・ポストはこのほど「隠遁(いんとん)の王国」と呼ばれる北朝鮮までもが観光で外資を誘致しようと門戸を開いた、と報じている。

 韓国も昨年11月12日、済州島が世界7大自然景観に選定されたのを機に、海外からの観光客誘致に一層力を入れて取り組んでいる。とりわけ「太っ腹な観光客」と呼ばれる中国人は、既に韓国の観光業界の貴重な「お客様」となっている。

 観光客たちは、それぞれの国によって好みが違う。国別に魅力的に感じる部分や観光したがる地域が異なる上、ショッピングの好みや予算にも大きな差がある。そのため、それぞれの国の好みに合わせた「オーダーメード戦略」が必要な時代なのだ。

■韓国で一番たくさんお金を使う観光客は?

 国内外の観光業界が注目しているのは断然「中国人観光客」。世界観光機関(UNWTO)は、2020年ごろには中国人の海外観光客が1億人に達すると予想している。中国人観光客は、毎年増え続けているだけでなく、一度の買い物で「店にある品物を買い占める」ほどの買いっぷりの良さで評判だ。

 では、外国人観光客のうち、中国人観光客が韓国滞在中に使う1人当たりの金額もトップなのだろうか。中国人観光客の1人当たりの支出額が多いのは事実だが、1位ではない。

 文化体育観光部が昨年2月に発表した「2010年外来観光客の実態調査結果報告書」によると、韓国滞在中、最もたくさんお金を使ったのはシンガポール人だった。シンガポール人は韓国滞在中に、平均1861.6ドル(約14万4000円)程度を使うことが分かり「太っ腹」観光客であることを立証した。次いでマレーシア(約11万3000円)、米国(約10万5000円)、タイ(約10万4000円)の順に多かった。

 日本人観光客が韓国観光で使う金額は平均8万円程度で、その他のアジア各国の観光客よりも少なかった。しかし、韓国を訪れる外国人観光客の人数を国家別に見ると、日本が不動の1位を守っている。

 韓国観光公社の集計によると、2010年に韓国を訪れた日本人観光客は計302万3009人で、2位の中国人観光客(187万5157人)より1.6倍も多かった。昨年は8月現在で、日本人観光客は200万人に達し、中国(144万人)より1.4倍ほど多かった。

 日本・中国に続き、韓国を最も多く訪れた観光客(昨年基準)は、米国(65万人)、台湾(41万人)、フィリピン(30万人)、タイ(26万人)、香港(23万人)の順だった。シンガポールの観光客は韓国で一番たくさんお金を使っているが、観光客の人数では10位内にも入っていない。

■国別に最も人気のある地域は?

 昨年10月1日から始まった中国「国慶節」の連休期間。ソウル・明洞にあるデパートのブランド売り場の前には長い行列ができた。普段は、週末になると開店10分前ごろから韓国人の来店客が短い列を作る程度が、この期間中は中国の観光客が押し寄せたことにより、入店するまでに30分以上待たなければならなかったという。

 中国をはじめ日本や東南アジアなど、世界の観光客たちが最も多く訪れた場所は、ソウル市内の繁華街、明洞だった。「2010年外来観光客の実態調査結果報告書」で、韓国旅行中に訪問した場所を問うアンケート調査を実施した結果(複数回答)、外国人たちには明洞(53.5%)、東大門市場(45.3%)、南大門市場(36.5%)、古宮(35.3%)、Nソウルタワー(29.0%)、仁寺洞(25.7%)、博物館や記念館(24.3%)、ロッテワールド(20.3%)が人気があることが分かった。特に明洞は、2009年の訪問比率48.8%から、53.5%へと5ポイント増加した。外国人観光客の2人に1人が明洞を訪れたことになる。

 旅行客の出身国家別のアンケートでは、全ての国で「ソウルを訪問した」という回答が最も多かった。仁川、京畿地域は、タイ(74.4%)とマレーシア(63.2%)の観光客が多く、慶尚道地域はカナダ(39.1%)、フランス(29.8%)など、アジア以外の国の観光客が最も多かった。また、済州島は中国(32.0%)とマレーシア(29.6%)の観光客が、江原道はタイ(57.3%)の観光客が相対的に多いことが分かった。

 中国人観光客には済州島のような島の観光、タイの観光客には江原地域で楽しむスキー観光が人気がある。一方、アジア以外の観光客には河東村や慶州など、韓国固有の遺跡や文化を見学するコースが人気だ。

■韓国観光で不満だったのは?

 「2010年外来観光客の実態調査結果報告書」によると、ほぼ全ての国の観光客が、韓国観光で不満だったこととして「言葉が通じない」という点を挙げた。

 言葉が通じないこと以外に、日本人観光客は▲商品の購入を強要された▲交通が混雑している―などを不満として挙げた。一方、中国人観光客は▲物価が高い▲食事が口に合わない―などを挙げた。

 相対的に韓国より所得水準の低い東南アジアの観光客も▲物価が高い▲食べ物が口に合わない―などを不満として挙げた。シンガポールの観光客は、案内表示が少ないという点を不満の2位に挙げている。また、米国の観光客は▲言葉が通じない▲交通が混雑している▲案内表示が少ない―などを挙げた。

 韓国観光公社の関係者は「タイの観光客には江原地域のスキー場が人気があり、日本人観光客は韓流スターが訪れた観光地に行きたがるなど、国別に)好みが違う。各国ごとに異なる戦略を立て、さまざまな国の観光客に喜んでもらえるよう努力していきたい」と語った。

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