▲イラスト=李撤元(イ・チョルウォン)記者

 「これはいったいどういう意味だろうか」。最近の歌謡曲を聞いていると、このように感じることが多い。ひどい場合は「本当に韓国人が作詞したのだろうか」と思うほど、正体不明の奇妙な歌詞があふれている。 最近カムバックした女性ダンスグループ、天上智喜The Graceのグループ内ユニット「ダナ&サンデー」の新曲「私を見てね(One More Chance)」の歌詞を見てみよう。「アダムのあばら骨を取ったって? 本当に取らなくちゃいけないのは私なのに、私の腰の骨、このままでは駄目」と始まる歌は「焼酎は嫌い、グラスが小さくて顔が大きく見えるじゃない」「この夜を熱く燃やす私たちだけの100分討論!」で終わる。前後の意味が全く合わず、「最悪の歌詞」という酷評が殺到した。 T-ARA(ティアラ)のヒット曲「YA YA YA」では、完全な文がほとんど見当たらない。「オオオ」「Yo ma Yo ma Lova Lova Yo ma Yo ma Supa Nova U Hee U U Hee」など、国籍不明の呪文のような感嘆詞があふれる。 このように理解不能な文や比喩、意味を成さない内容と奇妙な造語、でたらめな外国語が混ざり合った歌謡曲があふれかえっている。これは、もはや「韓国語テロ」と言っても過言ではないほどだ。■おかしな歌詞の「3点セット」 おかしな歌詞は、大きく分けると▲意味が理解しにくい難解な歌詞▲聞き取りにくい擬声語・擬態語だらけの歌詞▲でたらめな造語や外国語があふれている歌詞-の3種類になる。 人気グループf(x)(エフエックス)が、今夏に出した「ピノキオ」の歌詞は「私、今Danger(危険)1枚、2枚、ペストリーのように薄くね、Danger染み込んで、隙間に蜂蜜のように、あなたはピノキオ」のように、韓国語と外国語がごちゃまぜになっている。このグループの別の曲「ホットサマー(Hot Summer)」は「もうこれ以上このままではムリ、私が何とか手を加えてみるわ、(中略)汗を流す外国人には道を教えてあげよう。暑すぎたら黒くて長い服を着よう」など前後の文脈が合わない言葉で埋め尽くされている。 アイドルグループZE:Aの歌「MAZELTOV」は、なじみのないユダヤ語(Mazeltov=幸運を祈ります)までもが使われている。「マゼルトブ、元気を出して。マゼルトブ、笑って。マンデー、チューズデー、ウェンズデー、サーズデー、フライデー…(繰り返し)マッド・タイム・ライト、エブリバディー、手を取ってピョンピョン跳ねて…」 少女ユニット「タルシャーベット」の「スパドゥパディバ」は「スパパ ドゥパパ スパドゥパ ララ ディババディババ スパブム スパパ スパパ スパドゥパ ララ ディババディババ スパブム ブムブムブム 誰か私を水で濡らしてください」、男女混成アイドルグループ「男女共学」の「ピリポムピリポム」は「ピリポム ピリポム アアアアアアア ピリポム エエエエエエエ ピリポム アアアアアアア ピリポム エエエエエエエエ」のように暗号のような歌詞になっている。

■「目立とうとして逆にめちゃくちゃに」 なぜこのようなことが起こったのだろうか。KARAなどが所属しているDSPのユン・ホングァン取締役は「新曲を発表してから4週間もすると『食傷気味だ』といわれるため、製作者側は何とかして他の曲より目立つコードやリズム、目新しい歌詞を書かなければならないというプレッシャーを受けるようになった。不規則で速い曲調に歌詞を無理やり当てはめるので、歌詞がバラバラになり、奇妙な新造語が混じるようになる」と説明した。 さらに深刻な問題は、このようなでたらめな歌詞に対する法的・制度的な監視・浄化システムが皆無だという点だ。女性家族部(省に相当)の傘下にある青少年保護委員会が「青少年有害メディア審議基準」を適用し、アルバムや動画メディアを審議しているが、暴力性・扇情性などを規定しているだけで、国語破壊ともいえる難解で散漫な歌詞に関する規定は全くない。 韓国コンテンツ振興院のユン・ホジン首席研究員は「特に公衆の電波による放送で、国語破壊ともいえる歌詞が含まれた歌を無差別に流すのは、社会的悪影響と波紋が、インターネットと比較できないほど大きい。政府レベルはもちろんのこと、放送各社も過度におかしな歌詞に対しては、厳格にチェックし制裁を加えるべきだ」と主張した。歌謡曲評論家のイム・ジンモ氏は「歌詞やダンスなど、あらゆる要素が激しく変化し続けている。K-POPを自国の言語に翻訳して聞いている海外ファンも多いのだから、外国に出しても恥ずかしくないレベルの歌詞を作るべきだ」と話した。

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