4月21日、北朝鮮の新義州が見える中国・丹東の鴨緑江断橋付近は、押し寄せた中国人観光客で人の海と化していた。54人乗りの観光バスが5-10分置きにやって来て、鴨緑江上の遊覧船4隻には数百人の客が乗っていた。韓服をレンタルしてくれる店では観光客が列を作ってお金を払い、カメラマンは人波の間を駆け回りながらシャッターを押した。4カ月前の昨年末にここを訪れたときは人跡まれで、遊覧船も出ていなかった。
朝中の国境が今年再び開かれ、中国の観光客が北朝鮮に渡っていけるようになれば、北朝鮮は年に少なくとも5000万ドル(現在のレートで約67億円。以下同じ)の外貨収入を得ることになる見込みだ。新型コロナ以前、北朝鮮を訪れる中国人は年間およそ20万人に達し、北朝鮮を訪れる外国人観光客の90%を占めていた。現在、丹東での遊覧船搭乗を含む一日北朝鮮テーマ観光の費用は300元(約5790円)からとなっている。
丹東の旅行会社の社員ガオさんは「北朝鮮への出入りがもともと自由だった中国人が、新型コロナ問題の3年間で、北朝鮮観光への渇望を感じているらしい」とし「今は遊覧船に乗って鴨緑江の朝中国境までしか行けないにもかかわらず、観光の問い合わせが殺到している」と語った。ティックトックの中国国内版「抖音」(ドウイン)などソーシャルメディア上では、「6月開城-平壌-板門店観光予約」のポスターを掲げて前金を巻き上げる「観光詐欺」まで起きている。浙江省から来たという中国人観光客のチャンさん(60)は「北朝鮮は追憶を呼び起こす場所」だとし「中国の1970-80年代ごろを今の北朝鮮に見いだす『過去旅行』のために、北朝鮮へ行こうと思う」と語った。
丹東の鴨緑江大橋付近の道路脇にある北朝鮮専門の観光業者や北朝鮮の記念品店などおよそ20カ所は、今年に入って新しい看板を掛けた。北朝鮮レストランや記念品店の多くで、店のドアの前に「従業員求む」と求人を張り出していた。記念品店の従業員は「今年初めの時点で店の中はがらんと空いていたが、今では座る時間もなく客を呼び込んでいる」と語った。
丹東の消息筋は「下半期に北朝鮮の新義州観光がまず再開され、その後に平壌観光が開かれると予想している」とし「近いうちに、中国から渡っていく観光客が北朝鮮の大きな金づるになるだろう」と語った。
北京=イ・ボルチャン特派員