この部分は確かめてみるべきだ。少女像や国際社会での批判は、それ自体が目的ではない。責任認定、反省に背を向ける日本を圧迫するための手段だった。納得できるだけの謝罪と反省を得られたなら、ことさら国際法的論争を引き起こしながら外国公館前に少女像を置いておく必要はない。少女像を撤去するのでもなく、別の意味ある空間へ移そうというものだった。また、謝罪・賠償を受けたら韓国が国際社会で日本をののしる理由もなくなる。こうなれば、自然と最終的・不可逆的に問題は解決する。もし日本が合意を守らず、とんでもないことを言い出したら、そのときはまた少女像、国際社会での批判を動員すればいい。これをもって、合意自体に「屈辱」のレッテルを張るのは正しいことか。
責任認定、賠償の部分に問題があるのなら、尹氏は事前説明を聞いた際に被害者と共有し、「絶対駄目」とブレーキをかけるべきだった。だが慰安婦被害者の李容洙(イ・ヨンス)ハルモニ(おばあさん)などは「尹美香は合意の内容を知らせてくれなかった」と語った。合意の発表後、世論では少女像ばかりを浮き彫りにし、「尻尾が胴を振り回す」格好になった。
一度もつれた結び目は、余計に絡む。文在寅(ムン・ジェイン)政権は慰安婦合意を、前政権を攻撃する手段として活用し、外交部は前後の脈絡をきちんと知っていながら「大変な欠陥」があったとして、事実上合意を破棄した。そのせいで、加害者である日本が「韓国は国家間合意も守らない」と大声を上げる状況になると、文在寅大統領は後になって「両国間の公式合意であることは間違いない」と言った。慰安婦合意が「かゆでも飯でもない」中途半端な状態になってから5年間、被害者のための措置は一歩も前に進まなかった。その間に、35人いた生存者のうち24人が世を去った。
ただでさえ難題の韓日問題に国内政治、陣営の論理、世論の追い立てが絡むと、このような悲劇が起きる。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が反面教師にすべき理由がここにある。
イム・ミンヒョク記者