ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の健康不安説をロシア外相が直接否定した。ロシア政府高官がプーチン大統領の健康状態について直接語るのは今回が初めてだ。プーチン大統領の健康不安を理由に「クーデター説」や「権力委譲説」まで出ていることから、混乱を一日でも早く収める狙いがあるものとみられる。
ロシアのラブロフ外相は29日(現地時間)、フランスTFIテレビとのインタビューで「プーチン大統領は健康であり、彼からはいかなる疾病の兆候も見えない」と述べた。ラブロフ外相は「プーチン大統領は毎日大衆の前に出ており、彼の姿と言葉はテレビで簡単に確認できる」「まともな精神の人間なら、彼が病気とは考えないだろう」と主張し「(プーチン大統領が病気という)うわさを広める人間たちは自らの良心をもう一度振り返るべきだ」とも指摘した。
フランス通信(AFP)は「プーチン大統領の健康問題が出ること自体が非常に異例」と報じた。旧ソ連時代からロシア最高指導者の健康状態を語ることはタブーとされてきたからだ。ところが最近になってプーチン大統領の健康不安説が相次いで浮上しているため、外相自らその火消しが必要な状況になったのだ。
ラブロフ外相の説明にもかかわらず、プーチン大統領の健康状態を疑問視するニュースはこの日も相次いだ。英国のデーリー・メール紙はロシア連邦保安庁(FSB)筋の話として「プーチンは進行の早いがんにかかっており、今後2-3年しか生きられない状況」と伝えた。同紙は「プーチン大統領はすでに視力を失っているが、眼鏡の使用を拒否しており、側近たちにあたりちらしている」「深刻な頭痛でも苦しんでおり、原稿がなければテレビに出て話すことさえ難しい」とも報じた。
今年10月に満70歳になるプーチン大統領はこれまで甲状腺がん、血液のがん、パーキンソン病などさまざまな病気にかかったと指摘されてきた。誰が見ても腫れ上がった顔、手の震え、不自然な歩き方などがメディアを通じて伝えられたことで健康不安説に火がついた。4月初めにはロシア政府文書の記載内容として「プーチン大統領は2016年と20年に2回がんの手術を受け、その後もステロイドを長期に服用し、影響で怒りっぽくなった」との見方もある。さらに5月9日の第2次世界大戦戦勝記念日の行事では周囲に比べて特に寒そうにしている様子がそのまま伝えられた。
今月14日には米国誌「New Lines Magazine」がロシアのオリガルヒと呼ばれる新興財閥関係者の録音記録として「プーチン大統領は血液のがんで苦しんでいる」と伝えた。ウクライナ国防省のブダノフ情報局長は当時「プーチン大統領は複数の病気にかかっているが、その一つががんだ」「プーチン大統領に対するクーデターが進行中」と主張したこともある。今月初めにデーリー・メール紙はロシアのある独立系メディアを引用し「プーチン大統領が死んだ際には側近でロシア安全保障会議のニコライ・パトルシェフ議長(70)が権限を代行するだろう」と伝えた。
パリ=チョン・チョルファン特派員