韓国企業が市場の半分以上を占めているNAND型フラッシュメモリー市場で、米日の企業が先端技術と大規模投資を通じ、サムスン電子とSKハイニックスの追い越しにかかった。80兆ウォン規模とされる市場での影響力をさらに高める狙いだ。油断している間に韓国企業が圧倒的優位を保とうとする「超格差」戦略が揺らぎかねないと懸念されている。
米マイクロンは最近開かれた投資家イベントで、世界で初めて232段NAND型フラッシュメモリーを年内に量産すると発表した。232段は業界で誰もなし得なかった高積層技術で、同社は独自技術を活用し、2つのNAND型フラッシュメモリーをつなぐダブルスタック工程を採用するという。
NAND型フラッシュメモリーは、電源が入っていなくても情報を保存できるメモリーで、半導体を幾重にも積み上げる「積層」競争が盛んだ。メモリーセルを高く積み上げる「積層」は段数が増えるほど、単位面積当たりの生産性が高くなり、同じチップ面積にさらに多くのデータを保存することができる。敷地面積が同じでも低い建物と高い建物では延べ床面積に相当な差が出るのと同じだ。
それに先立つ2020年、マイクロンは業界で初めて176段NAND型フラッシュメモリーを開発したと発表し、業界を驚かせた。当時NAND型フラッシュメモリーの最高段数は、業界首位のサムスン電子と4位のSKハイニックスが量産していた128段だったからだ。マイクロンが232段NAND型フラッシュメモリーの量産に成功すれば、サムスン電子とSKハイニックスは高積層技術によるNAND型フラッシュメモリー量産の栄光をマイクロンに明け渡すことになる。
サムスン電子とSKハイニックスはいずれもマイクロンに技術的に追い越されたことについて、「それほど気にしていない。我々も既に確保している技術だ」という立場だったが、内部ではかなりの危機感を感じたとされる。ライバル企業との超格差が今後数年間は続くとみていたからだ。両社はその後、業績発表などでそれぞれマイクロンの技術に匹敵する新技術を披露した。
インテルのNAND部門を買収したSKハイニックスに押され、業界3位に後退した日本のキオクシアは、数十兆ウォンを投資し、生産能力の拡充に取り組んでいる。社会の全分野で半導体の使用が増加し、それと共にメモリー半導体の需要が急増していることを受け、生産能力の増強でシェアを高める狙いだ。先端技術の先取りも重要だが、販売量が多く、収益性が最も高い部門は中間技術であるだけに、その方面で競争力をさらに強化するのがキオクシアの戦略だ。
キオキシアは、米ウエスタンデジタルと共同で岩手県に面積3万1000平方メートル、1兆円規模のNAND型フラッシュメモリー新工場を建設する。来月耐震施設の建設を始め、来年完成を目指している。日本政府も同工場に対し、6000億円規模で創設される産業基金による支援を行うと表明した。