世界史的事件であるウクライナ侵攻開始後、米国が新たな国際秩序を作るために動き始めた。集団虐殺を行ったロシアとこれをほう助する国々を苦しい立場に追い込もうというバイデン米大統領の考えがはっきりとうかがえる。バイデン大統領は先月の訪欧時、「ロシアはG20(主要20カ国会議)から除外されるべきか」という質問を受けた。すると、同大統領は少しも迷わず「私の答えはそうだ」と答えた。そして、「もしロシアをG20から排除できないなら、ウクライナを招待する」とも言った。
ジャネット・イエレン米財務長官はさらに一歩踏み込んだ。ロシアがG20から排除されないなら、これを『無用の長物』にするという方針を今月初めに示唆した。「今年、インドネシアで開催されるG20会議にロシアが出席するなら、米国は出席しない可能性がある」とクギを刺した。
バイデン大統領はウクライナで人種虐殺や性的暴行を振るったロシアと21世紀の「プトラー」(プーチン+ヒトラー)を容認することができない。進歩主義者として生涯を生きてきた彼の信念がそうさせる。「ロシアとの戦争も辞さない」とも主張する共和党に対抗し、今年11月の中間選挙で勝利するためにも、なおのことそうだ。
米国際政治学者ヘンリー・キッシンジャー氏は著書『外交(Diplomacy)』で「力の空白は必ず満たされるが、重要なのは誰によって満たされるのかだ」と述べた。ロシアと中国、インドなどを含むG20体制が崩壊したら、世界で代表性を認められる機構が必要だ。その代案の一つとして、G7(主要7カ国会議)の拡大が挙げられる。米国は既に2020年、「G7に韓国やオーストラリアなどを加えて、『G11』体制に拡大しよう」という構想を提示している。
来月発足する尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は世界秩序再編期を生かし、経済力がほぼ同じオーストラリアと共に「G9」加盟国になるという構想を持って動いた方がいい。G9になると欧州偏重でなくインド・太平洋地域の声を反映させて中国やロシアに効率的に対応できるという論理を推進できる。