欧州「中国を放っておいてはいけない」…敵と認識し始めた(下)

ウクライナ侵攻のロシアを擁護したことに「衝撃」

 これに対して中国外交部(省に相当)は「(EUは)不適切な発言を続けている」と反発した。中国外交部は先月30日「中国は歴史の正しい側に立っており、中国に対する非難は自ずと崩壊するだろう」と主張した。中国の王毅・外相も「西側によるロシア制裁は一方的で不法」と批判している。米国の政治専門メディア「ポリティコ」は「ロシアを後押しする中国の動きは欧州と中国との関係に恐怖を吹き込んだ」「欧州諸国は今や中国を冷戦後の秩序と安全保障の枠組みに対する挑戦者と認識している」と分析した。

 双方の対立が経済分野に広がる可能性も高まっている。ポリティコはEU幹部の話として「中国によるロシアへの支援が確認された場合、EUは中国に貿易制裁を加えることができる」と報じた。中国との「経済戦争」も辞さないということだ。

 「中国に対する経済依存が欧州にとってアキレス腱(けん)になりかねない」との危機感も高まっている。ロシアが天然ガスなどを武器に欧州に攻勢を加えたように、中国も欧州が抱えるこのような弱点を突いてくるとの見方だ。中国は2020年の時点でEUにとって最大の貿易相手国であり、輸入全体の約20%、輸出も15%以上を占めている。

 欧州が投資に力を入れている再生可能エネルギー関連のインフラも中国に大きく依存している。ドイツのベルン・ロイター・リサーチによると、太陽光発電設備に必要な部品のマーケットで中国製が占める割合は部品によっては64-97%に達している。現在エネルギーはロシア、未来のエネルギーは中国に押さえられている形だ。チェコのヤン・リパフスキー外相は「欧州にとってウクライナ戦争が『ハリケーン』だとすれば、中国は『気候変動』に相当する問題だ」と述べ、中国を「より長期的で致命的な問題」と指摘した。

 中国という変数は欧州諸国における政治の激変にもつながりかねない。ロシアが中国からの支援を受け欧米による経済制裁を克服し、欧州に対して本格的な報復に乗り出すことも考えられるからだ。そうなった場合、欧州のエネルギー価格は高騰し、各国の政情が不安化する可能性も出てくる。フランスの新聞フィガロは「昨年に比べて燃料価格は20-30%高騰し、マクロン大統領の支持率に大きな打撃となった」「新たなエネルギー供給不安はフランスだけでなく欧州各国に連鎖的な政情不安をもたらす可能性が高い」と予想した。これは欧州諸国の政権交代につながり、反プーチンで一つになっている欧州各国の結束が崩壊しかねないとの懸念にもなっている。

パリ=チョン・チョルファン特派員

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