欧州「中国を放っておいてはいけない」…敵と認識し始めた(上)

ウクライナ侵攻のロシアを擁護したことに「衝撃」

 欧州各国の間で「中国発の安全保障上の危機」への懸念が急浮上している。欧州と中国はこれまで新疆ウイグル自治区の人権弾圧や中国企業に対する禁輸措置などさまざまな問題で対立を繰り返してきたが、基本的には友好関係を維持してきた。ところがロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに中国に対する欧州諸国の見方が一気に変わった。中国は欧州にとって「現存する実体的な安全保障上の脅威」であり「中国に対する高い経済依存度が欧州に突き刺さる致命的な刃物になりかねない」との見方が欧州諸国の間で浮上しているのだ。

 北大西洋条約機構(NATO)は今月7日(現地時間)、ベルギーのブリュッセルで外相会談を開き、今年6月にスペインのマドリードで開催予定のNATO首脳会議で「NATOの安全保障に及ぼす中国の影響」を正式な議題として採択することを決めた。NATOは先月31日に2021年度の年次報告書を発表し、その中で「中国の野心と攻撃的な行動が(冷戦後に欧米の構築してきた)ルールを基盤とする世界秩序と安保領域に体系的な挑戦を加えている」と指摘したが、それからわずか1週間で上記の議題が採択されることになったのだ。

 欧州の安全保障を担当するNATOが中国問題を正式な議題とするのは今回が初めてだ。ドイツの日刊紙ディー・ツァイトや週刊誌のシュピーゲルなどは「中国と欧州連合(EU)の間には新疆ウイグル自治区の人権問題、台湾問題、リトアニアに対する貿易報復問題など以前から対立があったが、(ロシアによるウクライナ侵攻後)習近平・国家主席はプーチン大統領をあからさまに擁護しているため、対立の次元が変わりつつある」との分析を示した。欧州に対するロシアの安全保障上の脅威を明確に知りながらも、ロシアを支援することを通じ欧州に対して事実上の「敵対行為」をしているというのだ。

 欧州と中国は最近も過激な発言をやりとりしている。NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は先月23日「中国は露骨なうそや虚偽情報の拡散などでロシアに政治的な支援を行っている」と批判した。EUのウルズラ・フォン・デア・ライエン執行委員長は今月1日、遠隔形式で行われた第23回中国EU首脳会議で習主席に対し「ロシア制裁を支援しないなら少なくとも妨害はするな」として習主席に直撃弾を浴びせた。EUのボレル外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長は「われわれ(EU)が何を話しても習主席は特別な反応を示さず、言いたいことしか言わなかった」「中国とEUは異なる『価値観』を持っている」と指摘した。

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