2018年から2019年にかけて「仲裁者」「韓半島の運転手」を自任し、米朝首脳会談実現のため東奔西走していた韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の「過度の関心」を負担に感じた北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が、米国側に韓国の干渉なき米朝直接対話を要請していたことが明らかになった。時事ジャーナルは8日、金正恩委員長と米国のドナルド・トランプ大統領(当時)との間でやりとりされた27通の親書を入手し、このように報じた。
報道によると、金正恩委員長は2018年9月21日、トランプ大統領宛の親書に「今後、朝鮮半島の非核化問題は南朝鮮の文在寅大統領が同席するものではない、閣下と自分が直接話し合うことを希望する」と記した。さらに「現在われわれの諸問題に文大統領が示している『過度の関心』は不都合」だとし、「もし閣下がこちらの意見に同意するのであれば、ポンペオ(当時の国務長官)を再度、速やかに平壌へ派遣してほしい」と要請した。
金正恩委員長がこの親書を送った時期は、文大統領を平壌へ呼び寄せて第3回南北首脳会談を開いたわずか二日後だった。当時、南北首脳は平壌市内で自動車パレードを行い、一緒に白頭山へ登るなど、親密な関係を誇示していた。文大統領は韓国の政治家として初めて、15万の平壌市民の前で演説も行った。
だが親書の内容を見ると、金正恩委員長は内心では文大統領を「厄介な存在」と認識していた可能性が高い。こうした金正恩委員長の胸中は、2019年2月のハノイ米朝首脳会談の決裂後、露骨に現れた。金正恩委員長は「ハノイ・ノーディール(会談決裂)」直後の2019年4月、最高人民会議施政演説で文大統領に向かって「図々しく仲裁者、促進者ぶったことをするな」と警告した。その後、北朝鮮メディアは「茹でた牛頭」「おびえたイヌ」など、荒っぽい表現を動員して文大統領を非難した。
キム・ミョンソン記者