ウクライナに侵攻したロシアが兵器や戦車などに掲げた「Z」の表記に対する拒否感が、欧州全域に広がっている。これにより、「Z」をなくすため長年使ってきたロゴを放棄する企業も現れている。サムスン電子は、欧州の一部地域で販売されている製品の名称を変更した。
業界関係者が1日に明らかにしたところによると、サムスン電子はこの日、ウクライナのホームページで販売している「Galaxy Z3」を「Galaxy Fold3」へ、「Galaxy Z Flip3」を「Galaxy Flip3」へ、それぞれ変更した。反ロシアの傾向があるバルト3国(リトアニア、ラトビア、エストニア)に続く措置だ。
スイスのチューリッヒ(Zurich)保険は、150年間使って来たロゴを当分は使用しないこととした。先月、声明を通して「Zが入ったロゴを使う場合、誤解を招く余地がある。当分は使用しない」と表明した。同社は欧州の巨大保険会社の一つで、時価総額は504億ドル(現在のレートで約6兆1700億円)に達する。
Zの記号の使用に法的制裁を加える欧州の国も徐々に増えてきている。ドイツのニーダーザクセン州とバイエルン州は先月末から、Zが記された旗を振ったりステッカーを張った車を運転したりといった、宣伝目的での使用を全面禁止した。違反した場合は、最高で懲役刑に処される。カザフスタンは、Zを付けた車に乗っているドライバーに罰金を科す。チェコも、Zを公の場所で使った場合には法的に処罰する案を検討していると伝えられている。
逆にロシアでZは、ロシア軍の勝利の象徴で、愛国を意味する記号として使われている。ロシアによるウクライナ侵攻が始まった当時、Zは単に彼我識別用の記号だといわれていたが、キリル文字にないこの記号の正体に外信が疑問を抱き、話題になっていた。その後、ロシア国防省は「勝利のため(ラテンアルファベットではza pobedu)」だと明かした。また「平和のため(za mir)」「真実のため(za pravdu)」という意味もあると付け加えた。
Zは、先月18日(現地時間)にモスクワのルジニキ・スタジアムで開かれたクリミア併合8周年記念式典でも確認された。ロシアのプーチン大統領が演説を行う中で、ロシア国旗と共にZの字が書かれた旗も多数目についた。式典のスローガンもまたZで始まっていた。
ソン・ジュサン記者