青瓦台(大統領府)が文在寅(ムン・ジェイン)大統領の妻・金正淑(キム・ジョンスク)夫人の衣装代疑惑について、「衣類購入の目的で特殊活動費などの国家予算を使用したことはない。私費で負担した」と述べた。しかし、根拠は示さなかった。私費で負担した場合、なぜ裁判所の判決まで否定して明らかにしなかったのか、「国益のために非公開」うんぬんで事を大きくしたのか、新たな問題が浮上してから2週間以上もなぜ沈黙していたのか分からない。
青瓦台の弁明の一部は半日で「真実なのか?」という疑念をもたらした。卓賢民(タク・ヒョンミン)儀典秘書官が30日午前、「衣類と装身具は5年間一貫して私費で、カードで購入した」と言ったが、金正淑夫人に韓服と靴を販売した側は「封筒に入っていた現金で受け取った」と言った。その額は1回数百万ウォン(数十万円)に達したという。
このような嘆かわしい議論が青瓦台の弁明で決着しないのは、青瓦台にウソをつく癖があるからだ。青瓦台はこの5年間、あまりにも簡単にウソをついてきた。その中には、すぐに青瓦台の見解が覆った明白な事案も多かった。2019年の韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄決定直後、「米国に理解を求め、米国も理解した」と言ったが、米政府は直ちに「一度も我々の理解を得たことはない」と言った。文大統領が「南北対話はさまざまな経路で成り立っている」と話した直後、北朝鮮外務省の局長が「そんなものは一つもない」と言った。2020年には当時の青瓦台の盧英敏(ノ・ヨンミン)大統領秘書室長と金照源(キム・ジョウォン)民情首席秘書官がマンション売却問題で「声を荒らげて争った」という報道が出たが、青瓦台は「一言で言えばフェイクニュースだ」と否定した。ところが、国会に出席した金外淑(キム・ウェスク)人事首席秘書官は、これを問う野党に「言争(オンジェン)をしたことはあるが、ケンカをしたことはない」と答えた。「言争」は「言葉で争う、言い争う」という意味だ。
環境部の「ブラックリスト」を「『ブラックリスト』ではなく『チェックリスト』」と言ったのもウソに近い。民間人違法査察の暴露があった時も、青瓦台は「文在寅政権には査察のDNAがない」と言い張った。しかし、査察はあった。文大統領の側近だった駐ロシア大使関連の金品授受疑惑事件についても、「検察で嫌疑なしとして処理された」と言ったが、検察はその事件を正式に捜査したこともなかった。蔚山市長選挙工作、月城原子力発電所の経済性操作など、政権の道徳性に直結した疑惑についても、捜査と裁判過程でウソと発覚した青瓦台の弁明は一つや二つでない。今後もさらに増えるだろう。「衣装代問題の弁明は信じがたい」という人がこれほど多いのは、青瓦台が自ら招いた状況だ。