【3月28日付社説】北朝鮮ICBM糾弾に反対した習近平主席、韓国のTHAAD追加配備も反対するな

 国連安全保障理事会が北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を糾弾するメディア向けの声明を出そうとしたところ、中国とロシアの反対で霧散した。韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領は中国の習近平・国家主席と行った最初の電話会談で「北朝鮮の挑発を懸念する」と伝え協力を要請したが、中国は即座に北朝鮮の側についたのだ。国連駐在の中国大使は北朝鮮の挑発について「韓米連合訓練を中断しない米国のせいだ」と主張した。韓米訓練は2018年の南北と米朝ショー以来事実上行われていないはずだ。中国は一体何を言っているのか。

 北朝鮮は今回22個のタイヤを持つ移動式発射台(TEL)からICBMを発射した。超大型の多軸トラックやミサイルの燃焼管を製造する炭素繊維、高強度アルミニウムなど核関連の部品はほぼ中国を通じて輸入している。中国が核とミサイル関連物資の北朝鮮への流入を国連との約束通り統制さえしていれば、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長による「核武力の完成宣言」は不可能だった。中国は明らかに北朝鮮と「共犯」だ。

 中国の宣伝メディアは2017年「米国が北朝鮮の核施設を攻撃しても、中国は軍事介入しないだろう」と主張した。ところが米中対立が本格化したことでこれが180度変わった。北朝鮮が核・ミサイル戦略を堂々と増強する中でさえ「北朝鮮に対する制裁の緩和」を求めたのだ。習主席は金正恩氏と5回直接会談し、瀬戸際のたびに「裏口」を開いた。北朝鮮による核開発を「米国のせい」と責任転嫁し、北朝鮮の非核化を長期の課題としてしまった。北朝鮮の核を米中覇権競争のカードとして利用しているのだ。

 その間に北朝鮮は韓国の防空網を突破する新型弾道ミサイル3点セットを開発した。これにICBMやIRBM(中距離弾道ミサイル)などを高角発射して同時に発射すれば防衛は難しくなる。金正恩氏は実戦でも使用可能な「戦術核」の開発まで公言した。有事に生存するにはTHAADの追加配備など多層迎撃網を構築し、同盟国や友好国との軍事協力を強化する以外に方法はない。

 尹次期大統領が選挙中に「THAAD追加配備」や「韓米日軍事協力」に言及すると、これに中国は反発した。一部では「報復」までちらつかせた。しかしウクライナ戦争でみるように、政府にとって国民の生命と主権を守ること以上に重要なことはない。北朝鮮の核とミサイルの技術が今後も向上するのであれば、韓国はTHAADの追加や軍事同盟よりもさらに踏み込んだ対策に乗り出すしかない。これがいやなら中国は北朝鮮が挑発を行っても「裏口」を開ける行動からまずは中断すべきだ。

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