韓国大統領選挙の結果は日本でも大きなニュースだ。しばらくの間、ロシアによる武力侵攻のニュースに韓国も北朝鮮も「後回し」になっていたが、当選した尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏の「未来志向的な韓日関係を作る」という第一声を日本のあらゆるメディアが一斉に主要ニュースとして伝えた。最大の関心事はやはり韓日関係の行方だ。政権交代をきっかけに「戦後最悪」と言われる韓日関係が解決するかどうかを占う記事が多い。
韓国では「極右派」という烙印(らくいん)を押されている橋下徹元大阪府知事も、民放の朝の情報番組に出演して、「これを機に両国関係の改善を図るべきだ」と強く言った。橋下氏は「(徴用・慰安婦被害者賠償問題などの)完全解決などということは目指さなくていいと思う。歴史認識はお互いに違う。お互いに歴史認識をぶつけ合いながらでも、最後は『立場の違いでしようがない』と話しながら酒が飲める、そうでなければ飯を食える、そういう関係を維持していくべきだ」と語った。懸案で衝突したとしても、意思疎通までも投げ出してはならないという言葉に共感した。
韓日関係は2018年の強制徴用被害者大法院(日本の最高裁判所に相当)判決や、翌年の日本による輸出規制以降、最悪となった。その後は日本が関係改善の前提条件として「韓国が解決策を提示せよ」と要求し、両国は対話の糸口をつかむことさえ難しくなった。両国関係が最悪の状態で数年にわたりこじれているため、人々も次第に無感覚になってきている。あえて関係改善をしなくてもいいのではないか、という声も聞かれる。
しかし、ロシアがウクライナを侵攻する姿を見て、国の安全と平和はおのずと成り立つものではないという事実を切実に感じている。台湾に対する欲を隠さない中国の隣国として、韓国も日本も手を取り合うべき時は取り合わなければならない。橋下氏の表現を再び借りるなら、「中国、ロシア、北朝鮮を隣国に抱えて、これから安全保障というものが韓国との間で非常に重要になってくる時に、とにかく罵詈(ばり)雑言を浴びせて、『相手は間違っている』と言い続けるような関係は良くない」ということだ。
今年は2002年サッカー韓日ワールドカップ20周年となる年だ。折よく韓日関係改善に意欲的な大統領が韓国で誕生した。日本でも昨年10月、自民党内ではハト派とされる岸田文雄首相が就任した。尹錫悦氏は11日、岸田首相との電話協議で韓日関係改善のために協力しようと述べた。日本は尹錫悦氏が米国の次に日本の首脳と電話で話し、3・11東日本巨大地震を迎えるにあたり、お見舞いの言葉を述べたことを歓迎する雰囲気だ。もつれた韓日間の懸案に突然、完ぺきな解決策が出てくることはないだろう。だが、最初から100点を取らなければならないことではない。10点でも50点でも、ひとまず関係改善のための努力を始めることに意義がある。せっかくやってきた変化の時期に、韓日両国の首脳が一緒に食事できるような小さな関係回復から試みてくれればと思う。
東京=崔銀京(チェ・ウンギョン)特派員