【寄稿】米国が韓国にクアッド参加を要請しなかっただって?(上)

 現在アジアで最も重要な多者間協議体の一つが「クアッド」だ。オーストラリア、インド、日本、米国の4カ国による安保協力体のクアッドは、米国が従来の2国間同盟ネットワークの他にアジアの主な民主国家を一つにまとめようとする試みだ。公式に派手な庁舎があるわけではないが、パンデミック(世界的大流行)の中で最初の首脳会議が遠隔で開催され、アジアに広範囲な支援を行うと同時に互いに関心を持つ問題で協力している。

 読者はアジアの主要民主国家である韓国がクアッドに加わらなかった事実をよく知っているだろう。これは文在寅(ムン・ジェイン)政権が正式に説明した内容とは違い、自ら選択した結果だ。2021年3月に最初のクアッド首脳会議が開催されたが、その始まりは25万人の人命を奪ったスマトラ沖地震とその後の津波に対処するため集まった2004年にさかのぼる。当時、筆者はホワイトハウスで勤務していたが、災害の規模があまりにも大きく、国連をはじめとする国際機関も直ちに対応するのが難しいほどだった。

 これに当時のブッシュ大統領はインド、日本、オーストラリアと共に貨物機、病院船、ヘリコプターやその他の軍事装備を活用し、4万人以上の兵力と緊急救助隊員を迅速に配備する国際的な支援活動を行うことを決めた。この協議体は「コア・グループ」という名称で9日間にわたり昼夜にかかわらず作業を行い、任務を完遂して解散したが、同じ考えを持つ国々の協力がいかに成功したかを実感し、その後もさらに多くの仕事を行うことを希望するようになった。これについて当時米国務省のマーク・グロスマン次官は「21世紀外交の新たな方式だ」と語った。

 創意的な政策の専門家であるホワイトハウスのカート・キャンベル・インド太平洋調整官が呼び掛けた現在のクアッドは、最初の会議でコロナワクチンの供給を10億回分に引き上げることで合意した。2021年9月に開催された第2回クアッド首脳会議ではクアッド諸国がインフラ、気候変動への対応、サイバーセキュリティー、新技術とサプライチェーン保護で相互の協力を約束するなど、より幅広い議題を取り扱った。これはアジアの主要民主主義国が地域の安定のためにどうすれば協力が可能かを示している。

ビクター・チャ米戦略国際問題研究所(CSIS)韓国部長

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