昨年9月、日本の自動制御機器メーカー、キーエンスの創業者である滝崎武光名誉会長がユニクロを経営するファーストリテイリングの柳井正会長を抜き、日本の長者番付でトップに躍り出た。キーエンスの株価がコロナ前に比べ96%も上昇したおかげだった。キーエンスは工場の自動化に必要なセンサーや測定器を生産しており、2020年6月には株式の時価総額が11兆円を超え、ソニーグループやNTTといった大企業を抜き、日本企業で時価総額2位にランクされた。ブルームバーグは「キーエンスの急成長は最近の世界市場でロボットと部品の需要がどれほど大きいかを示している」と評した。
【グラフ】日本製の半導体・ディスプレー用設備、韓国の輸入額推移
昨年世界の産業界が部品不足、労働力不足に直面し、ロボット・自動化設備市場を掌握した日本企業の価値が再評価されている。日本の工場自動化関連メーカーは自動車工場の生産設備から半導体製造工程に必要なセンサー、検査機器に至るまで世界の産業用ロボット市場の中核的存在だ。国際ロボット連盟によると、過去10年間に産業用ロボットの数は3倍に増えたが、毎年の新たな需要の45%を日本が供給している。中国と韓国のシェアはそれぞれ12%、7%にすぎない。英エコノミスト誌(最新号)は「日本の産業用ロボットメーカーは海外はもちろん日本国内でも名前が知られていないが、彼らのロボットや自動化設備は半導体を含む世界のサプライチェーン(供給網)で中心的存在になった」と指摘した。
■日本製ロボット、世界の供給網に不可欠
最近世界のテクノロジー企業の株価が急落しているにもかかわらず、日本のロボット・自動化設備大手4社であるキーエンス、ファナック、SMC、レーザーテックの企業価値は5年前に比べ2.5倍に拡大した。世界で唯一、半導体の超微細製造プロセスに必須の極端紫外線(EUV)検査装置を生産するレーザーテックの時価総額は2018年10月に10億ドルにすぎなかったが、2月18日現在で168億ドルに増えた。大手4社の売上高もコロナを経て急成長した。ファナックの昨年の売上高は58億ドルで、19年(45億ドル)を28.9%上回った。SMCの売上高も同じ期間に46億ドルから57億ドルへと24%の増収だった。
日本の産業用ロボット大手4社の特徴は営業利益率が高いことだ。売上高が中小企業クラスのキーエンスの企業価値が高く評価されるのは、営業利益率が50%を超えるからだ。残る3社の営業利益率も20%を下回ったことがない。キーエンスとレーザーテックは生産の外部委託でコストを節減し、ファナックはロボット工場に自社ロボットを投入することで生産コストを抑えた。ファナックの最大の工場は1カ月間、従業員を1人も投入せずに稼働できるように設計された。
1990年代から少子高齢化社会に突入し、人材難に直面している日本は産業用ロボットの開発を急いだ。その後、少子化時代を迎える先進国が増え、日本の内需用だったロボット・自動化設備メーカーの海外進出が増え、コロナで非対面がトレンドとなり、世界市場の攻略が加速している。キーエンスとSMCは売り上げの半分、ファナックとレーザーテックは80%を海外で上げている。SMCは最近、欧米の半導体メーカーに高圧制御装置を供給し、事業を拡大した。自動車工場の組み立てラインに欠かせない存在となったファナックには最近、電気自動車(EV)の生産需要増大で新規注文が相次いでいる。
■韓国の日本製設備依存度、さらに上昇
国際ロボット連盟によると、韓国の産業用ロボット密度(従業員1万人当たりのロボット使用台数)は932台で、世界で産業自動化比率が最も高い国に数えられる。しかし、需要に比べ国内の技術力と生産能力が足りず、産業自動化が進むほど日本への依存度が高まらざるを得ない構造となっている。
韓国政府が素材・部品・設備生産の自立を目標に掲げているものの、日本企業が掌握している最先端のロボット・設備・部品分野は事実上代替が不可能だ。実際日本製半導体設備・ディスプレー設備の韓国への輸入規模は19年の23億ドルから昨年(1-11月)には44億ドルにほぼ倍増した。浦項工科大(ポステク)産業経営工学科の鄭宇成(チョン・ウソン)教授は「自動化需要が増大し、日本のロボットメーカーも半導体先端露光設備市場を独占しているオランダASMLのような絶対的存在になる可能性が高まっている」と指摘した。
ピョン・ヒウォン記者、イム・ギョンオプ記者