CPTPP加入目指す台湾、11年ぶりに福島県産食品の輸入再開

野党は国民投票を予告

 台湾が2011年に起こった日本の福島原子力発電所での事故以来、中断してきた福島県産食品の輸入を11年ぶりに再開することを決めた。中国の圧力の中で日本との経済関係を強化し、日本を含む「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定」(CPTPP)への加入を目指すためとみられる。これに先立ち台湾政府は米国と貿易投資枠組み協定(TIFA)に向けた交渉を進めるため野党や畜産団体の反対を押し切り、飼料に添加物を使用している米国産豚肉の輸入を決めた。

 台湾政府は8日午前、日本の福島県産など五つの県で生産された食品の輸入を認めると発表した。台湾の蘇貞昌・行政院長(首相)は「過去10年間、18万件の日本産食品が放射線残量検査で合格し、6回にわたる評価と調査によれば福島県周辺で生産された食品は危険ではない」「今後も輸入食品に対して国際的な基準以上に厳格に検査を行っていく」と述べた。

 台湾中央通信社は今回の輸入再開について「CPTPP加入に向けた非常に重要な一歩」と報じた。蔡英文総統率いる台湾民進党政府は経済面での中国依存度を下げ、米国や日本などとの経済協力を進めてきた。台湾は昨年9月にCPTPPにも加入申請書を提出した。CPTPPに加入するには日本など全ての加盟国から同意を得なければならない。民進党所属の林智堅・新竹市長はSNS(会員制交流サイト)に「現在、台湾と日本、米国、欧州の関係は非常に緊密だ」「今こそ台湾が世界に出ていく重要な時期だ」と訴えた。これに対して国民党など台湾の野党は「政府は一方的な決定を下した」として輸入決定に対する国民投票を行うと予告した。

 台湾の決定を受け日本政府は福島県産食品の輸入を禁止している韓国と中国を圧迫している。日本の松野博一官房長官は「(韓国と中国に対しても)科学的な根拠に基づいて日本産食品の安全性を説明し、規制の撤廃を求めていきたい」と述べた。

北京=パク・スチャン特派員

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