また、今年リリース予定で西遊記の孫悟空を主人公に据えた中国ゲーム『黒神話:悟空(Black Myth:Wu Kong)』は華麗なグラフィックで注目を集め、予告編動画の再生回数はわずか1カ月で1000万回を超えた。韓国ゲーム業界の関係者は「中国ゲームは、3-4年前の時点では『まがい物』というイメージが強かったが、最近リリースされる新作は世界のゲームコミュニティーで話題になるほど完成度が高くなった」と語った。
■韓国ゲームは依然として中国で足を引っ張られている
一方、韓国ゲームは数年にわたり、世界最大のゲーム市場である中国に入り込めずにいる。中国当局が、あれこれと言い掛かりをつけて版号(ゲーム許可証)を出さないからだ。昨年、韓国市場へ進出した中国ゲームは200本ほどあるが、中国市場へ進出した韓国ゲームは1-2本にすぎないという状況だ。実際、韓国のゲームメーカーNEXONは昨年8月に『アラド戦記モバイル』を中国でリリースする予定だったが、これが白紙になった影響で、韓国国内でのリリースに方向転換した。2020年末に版号の発給を受けたCOM2USも、1年たつというのに中国国内でサービスを提供できていない。韓国ゲーム業界の関係者は「テンセントなど中国ゲームメーカーは韓国の人気ゲームの中国版を作って暴利を得ているが、当の韓国ゲームメーカーには低い比率のロイヤルティーしか支払わない」と語った。
韓国政府の交渉力消失を叱咤(しった)する声もある。中央大学経営学科のウィ・ジョンヒョン教授は「ゲーム産業の所管部処(省庁に相当)である文化体育観光部(文体部。省に相当。以下同じ)と外交部が、韓国企業に対する外国の不合理な差別政策について積極的に抗議すべき」と語った。韓国企業の知的財産権を巡って海外で争いの余地が生じた際、外交部・文体部の長官が協議して支援できるようにする「ゲーム法」改正案が2016年に韓国国会を通過したものの、これまで長官間の協議が行われた例はない。
イ・ボルチャン記者