「輸入車の墓場」といわれる日本で、中国製の安価な電気自動車(EV)が善戦していると、ブルームバーグが17日に報じた。
ブルームバーグは記事で、日本の物流企業SBSホールディングスなどの事例を紹介。SBSは最近、日本のEV関連スタートアップ企業「フォロフライ」を通じ、今後5年間でEV軽トラック2000台の導入を決めた。導入されるEVは東風汽車集団の子会社をはじめとする中国の自動車メーカーが製造する。
SBSは今後、オンライン通販の配送用としてEVバン約1万台を確保する予定だ。SBSの鎌田正彦社長は「日本のEVは自社のコスト基準に満たない」として「もっと安い車を買わなければならない。トラックが高くなったといいう理由だけで顧客に値上げを了承してもらうわけにはいかない」と説明した。
品質もさほど悪くないという評価だ。SBS即配部門の宮原朗次長は、中国製のEVが3‐4年使用後にも性能を維持できるかは心配だとしながらも「現状では12時間充電すれば問題なく走行できる」と話した。
また、日本の物流企業、佐川急便も中国の広西汽車集団の生産するEVを導入する計画だと昨年発表している。広西汽車集団はOEM(相手先ブランドによる生産)方式で生産しており、年内に車の引き渡しを開始するとみられる。
ブルームバーグによると、日本の自動車市場でEVの割合はまだ1%にすぎない。しかし、その中でも勝敗はすでに分かれており、中国メーカーがトップグループを構成しているとの分析だ。
これに関連し、フォロフライの小間裕康最高経営責任者(CEO)は「もし日本のメーカーがガソリン車の販売にこだわるのなら、海外メーカーにやられてしまうだろう」として、中国政府がCATL(EV用バッテリー世界最大手の中国企業)に対する投資を含め、EVのインフラ構築を国家戦略として進めていることを暗に示した。
実際に中国のEVメーカー、BYD(比亜迪汽車)は、日本の純粋なEVバス市場でシェア70%を占めている。BYDは2030年までに日本に純粋なEVバス4000台を輸出するのが目標だ。BYDのスポークスマンは「日本市場への進出は重要なステップ」だとして「日本は品質重視の市場として、自動車産業で確固たる地位を築いているからだ」と説明した。
中国は昨年、EVを含め完成車201万5000台を輸出した。前年比90.1%増と急激に数字を伸ばし、過去最高となった。特に、NIO(ニーオ)、小鵬汽車(シャオペン)などの企業は欧州市場にも進出の場を広げている。欧州連合(EU)は、2030年までに温室効果ガスの排出量を1990年の55%まで減らすという目標を掲げて強力な環境政策を進めており、関連の需要が高いからだ。
このため業界の関係者らは、中国の自動車輸出がEVを中心に今後も増えるとみている。中国は昨年も、前年比でおよそ3倍増となる31万台のエコカーを輸出した。ここには上海のテスラの工場で生産された16万台が含まれているが、それ以外の15万台はBYD、NIOなど中国ブランドの車だった。