中国の思い通りに規制…現代自の販売7割減、アモーレは店舗半数閉鎖

中国の思い通りに規制…現代自の販売7割減、アモーレは店舗半数閉鎖

 韓国化粧品大手アモーレパシフィックは今年、中国国内の「イニスフリー」の店舗280カ所のうち140カ所を閉店する計画だ。昨年は「エチュード」の店舗610カ所を閉鎖。「ヘラ(HERA)」「アイオペ(IOPE)」などのブランドも実店舗を全て閉じ、大規模な事業再編を進めている。アモーレパシフィックは2016年、中国で「Kビューティー」ブームをリードし、創業以降初めて営業利益1兆ウォンを達成した。しかし、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備問題で限韓令(韓流禁止令)が本格化すると、海外販売の70-80%を占めていた中国事業の業績が急落した。LG生活健康も中国事業の業績で一喜一憂する状況に変わりはない。金の卵を産むはずだった中国市場は今や諸刃の剣だ。

【図】韓国の500大企業による中国現地での生産売り上げの変化

■相次ぐ中国脱出

 最近数年で韓国企業は中国から相次いで撤退している。ちょっとしたことで爆発する限韓令のような嫌韓リスク、ますます強まる中国当局の規制、外国企業に対する差別で正常な経営は不可能との判断があるためだ。現代自動車グループは16年、179万台を販売し、中国市場でのシェアが10%に迫った。しかし、THAAD問題で中国の消費者による不買運動が広がり、昨年の販売台数は約50万台に減少した。現代自は昨年、海外初の生産拠点だった北京第1工場を売却し、北京第2工場の売却も検討している。

 SKグループは崔泰源(チェ・テウォン)会長自ら、中国を第2の内需市場にしようという「チャイナ・インサイダー」戦略を推進してきた。しかし、10年間経営してきたレンタカー事業を昨年整理するなど、中国企業の大規模な再編を進めている。サムスン電子は18年に天津市のスマートフォン工場の稼働を中断し、19年10月には広東省恵州市のスマートフォン素材工場も閉鎖した。天津市のテレビ工場、江蘇省蘇州市のパソコン工場、液晶ディスプレー工場も閉鎖した。

 国際標準とはかけ離れた中国当局の規制も韓国企業にとっては致命的なリスク要素だ。代表的な業種はゲームだ。4-5年前から中国が許可証の発給を全面的に中断し、ゲーム業界全体が「中国発リスク」に陥っている。年平均200種類の中国製ゲームが韓国市場で発売され、巨額の収益を上げる一方、過去4年間に中国市場で配信が認められた韓国製ゲームは1つにとどまっている。

 中国は映画産業の門戸も閉じた。中国ラジオ・映画・テレビ総局(広電総局)は15年、「暗殺」以降、韓国映画の公開を1作も認めていなかったが、昨年12月にようやく「オー!ムンヒ(Oh! My Gran)」が審査を通過した。映画界では当時、青瓦台安保室長の訪中に合わせた一度限りのイベントだという見方が支配的だった。映画業界関係者は「奉俊昊(ポン・ジュノ)監督の『パラサイト 半地下の家族 』をはじめ、中国市場進出を狙っていた数多くの映画が理由も分からないまま封切りできなかった。今後も全面的開放は難しいのではないかとみている」と語った。

 中国で痛い目に遭う企業が増え、ここ数年で「中国市場撤退」の相談に専門で応じる業者まで登場した。ある中国専門コンサルティング業者は「中国人社員が技術だけ学んだ後、別会社を設立し、取引先ごと持っていくケースが目立つ」と指摘した。

■国際標準がない市場

 企業の脱中国ラッシュには中国の産業環境の変化も大きな影響を与えた。ただでさえ韓国ブランドの影響力が低下している状況で、習近平国家主席が掲げる「共同富裕」政策の影響で、賃金上昇が続き、生産拠点としても魅力は大きく低下した。中国人労働者の最低賃金は16年当時の時給18.7元(約341円)から今年は25.3元へと35%も上昇した。

 中国政府は「中核技術産業における国内企業のシェアを70-80%に引き上げる」とする「中国製造2025」計画を推進している。その過程でライバルである韓国企業は使い捨てにされている。ポステクのチョン・ウソン産業経営工学科教授は「中国は自国のバッテリーメーカーを育成するため、韓国企業のバッテリーを搭載した電気自動車には補助金を支給しなかった。事業を維持するためには、市場の予測が可能でなければならないが、中国は国際標準や合理的手続きが通じない場所だ」と指摘した。

パク・コンヒョン記者、イム・ギョンオプ記者

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