英国日刊紙「タイムズ」の日曜版「サンデー・タイムズ」が26日付で、「サンデー・タイムズ 2021年の英雄」20人を選んだ。そのうちの1人は、脱北者出身の英国人権運動家パク・チヒョンさん(53)だ。
サンデー・タイムズは「より公正かつ安全な社会を作り、困難に直面している生命を救うため黙々と働いてきた人々を主に選んだ」と説明し、パクさんについて「北朝鮮での収容所生活と2度の脱出失敗を経て、14年前に英国へたどり着き、3人の子どもの母親として生きながら他の脱北者の英国定住を支援した」と紹介した。
パクさんは咸鏡北道清津の出身で、1998年の「苦難の行軍」当時、弟と共に北朝鮮を脱出した。脱北の過程で中国の農夫に売り飛ばされて息子まで生んだ、人身売買の被害者だ。2004年に北朝鮮へ強制送還されて労働教化所生活も経験した。再び脱出を試みて2008年に英国マンチェスターに到着し、難民の地位を認められて英国に定住した。
パクさんは脱北女性や北朝鮮児童の人権保護活動を繰り広げてきた。2019年6月、英国議会の聴聞会に出席して「脱北した北朝鮮住民の難民としての地位がきちんと認められず、女性たちは人身売買の対象になるケースが多い」とし、自分の被害経験も証言した。こうした活動が認められ、2018年に英国の「アジア女性賞大賞」を授与され、2019年には国際アムネスティの「ブレーブ・アワード」初代受賞者に選ばれた。
パクさんは今年5月、自分が住んでいるマンチェスター市ムーアサイド区(ウォード)の地方議会選挙にも保守党から立候補した。パクさんは当時、「韓国人実業家からもらったマスク7000枚を英国の高齢者施設に寄付したら、『難民として定住するのも大変だったはずなのに、私たちを助けてくれて本当にありがとう』と感謝のメッセージが届いた」とし「私を助けてくれた英国のために奉仕したいという気持ちで政治に挑戦することになった」と明かした。
パリ=チョン・チョルファン特派員