京畿道金浦市でカフェを営んでいるイさん(28)は、先月末から店で手のひらサイズの「元祖たい焼き」を売り始めた。今年3月に創業したものの新型コロナで売り上げが伸びないことを受けて、アイデアを出したのだ。結果は上々だった。店の近所でたい焼きを売る露店が減り、たい焼きを簡単には探せなくなると、客が集まってきたという。イさんは「11月に確定患者が増えるのを見て防疫措置がまた強化されると予想し、たい焼き商売を準備した」とし「大変ではあるが、それでもたい焼きの売り上げが助けになる」と語った。
新型コロナ問題が長引き、今月18日から防疫パス(ワクチン接種証明・陰性確認書)がないとレストラン・カフェで2人以上集まることもできなくなるなど、防疫守則がまたも強化されたことで、自営業者らがあちこちで生き残りの策を練っている。
新型コロナの拡大が続いた過去2年の間に、フランチャイズの売り場や有名飲食店を中心に広まった「ミールキット」(簡単調理食材)。街中の店がこれをベンチマーク(優良企業の手法などに学ぶこと)するケースも出現している。ソウル市城東区のある居酒屋は先月から、店で客の注文が多い「牛バラみそ寄せ鍋」のミールキットを販売している。午後6時から主に夕食時に商売をしてきたこの店は、ソーシャルディスタンスの施行中は営業時間制限を受け、今年の売り上げは昨年の半分の水準にまで下がるという状況だった。社長のキムさん(30)は「何とかしないといけないという思いで3カ月、ミールキットを作る方法を学び、研究した」とし「お客さんの反応はいい感じなので、今後は別のメニューもミールキットとして開発してみるつもり」と語った。
防疫パス導入でワクチン未接種者が相対的に不利益を被る点を、逆に活用するケースもある。大邱のある語学教室は、今月16日から未接種の学生らに対し受講料を30%割引し、教材を無料で交付する。この語学教室の院長を務めるペクさん(38)は「韓国政府の防疫指針により、来年2月から防疫パスがないと教室に通えなくなるが、そのときまで生徒をつかまえておこうと思って出したアイデア」と語った。
生き残り策を探す自営業者らがいる一方、韓国政府の防疫指針は不合理だとして従わない自営業者の例も相次いでいる。自営業者向けのあるインターネットコミュニティーに今月20日、仁川など韓国国内およそ10カ所でフランチャイズのカフェを営んでいるAさんが「政府防疫指針を拒否する。営業時間制限指針があっても24時間営業する」と表明する案内文の写真をアップした。Aさんはこの案内文で「過去1年間の累積赤字は10億ウォン(現在のレートで約9600万円)を超えた」とも記した。Aさんは、損失補償金の支援対象からも除外されたという。実際、このフランチャイズに加盟するおよそ10店舗のうち一部は、最近24時間営業を強行した。このうち仁川市延寿区にある2軒のカフェは、「感染病の予防および管理に関する法律」違反の疑いで延寿区庁が告発した。2軒とも、告発後は「午後9時まで営業する」として再び方針を変えたという。
22日には、全国自営業者非常対策委員会がソウルの光化門で総決起大会も開催する。同委は防疫パス撤廃、営業制限撤廃、5人未満の事業場への勤労基準法拡大適用反対などを要求する予定だといわれている。
チェ・ジェウ記者