金正恩委員長の核暴走10年…北朝鮮の経済成長率は半分の半分、貿易額は20分の1に(上)

金正恩委員長による統治から10年の北朝鮮
破産した「核・経済並進」

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が「金日成(キム・イルソン)王朝」の第3代世襲君主となってから10年が過ぎた。スイス留学を取りやめて平壌に戻り、後継者になるための授業を受けてきた金正恩氏が「偉大な継承者」というタイトルで権力の前面に登場したのは故・金正日(キム・ジョンイル)総書記の急死から2日後の2011年12月19日だった。

 北朝鮮は金正恩氏による10年にわたる統治の最大の治績を「核武力の完成」としている。国際社会からの警告を無視し、4回にわたる違法な核実験と60回以上のミサイル発射を強行した結果だ。金正恩氏は大陸間弾道ミサイル(ICBM)や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)など主な戦略兵器の試験発射現場を必ず視察し、核武力の完成を自らの領導力の結果と誇示してきた。

【図】金正恩執権10年

 その代償は大きかった。現在北朝鮮における経済難は1948年の政権樹立以来最悪のレベルだ。「苦難の行軍」と呼ばれた時期(1990年代中ごろ)でさえ平壌に残っていた多くの外国大使館がすでに撤収したが、これも経済難の激しさを物語っている。金正恩氏自らも「全ての部門で(経済が)目標に大きく届かなかった」と認めたほどだ。

 本紙が14日に韓国銀行経済統計システム(ECOS)などのデータを集計したところ、故・金正日総書記が権力を握っていた期間(1994-2011)は年間の経済成長率が平均3.86%だったが、それが金正恩氏の時代になると0.84%に下がった。金正恩氏が登場した1年目に63億ドル(現在のレートで約7200億円)だった貿易額も昨年は8.6億ドル(約980億円)へと一気に減少した。これは半世紀前(1970年代前半)と同じレベルだ。

 昨年初めのコロナ・パンデミック後に取られた国境封鎖の影響もあるが、それでも北朝鮮経済の専門家は「コロナ前から北朝鮮は厳しい経済制裁の影響で経済の体力が枯渇した状態だった」と指摘する。不可抗力ではなく北朝鮮自ら招いた結果ということだ。これは統計も裏付けている。北朝鮮の国民総所得(GNI)は2017年以降、2019年を除いて毎年マイナス成長を記録している。全世界がプラス成長している中で北朝鮮だけがマイナス成長を続けた理由は「国連安保理による制裁」以外では説明がつかない。

 北朝鮮は2016年1月6日に行った4回目の核実験から17年11月29日の大陸間弾道ミサイル「火星15型」の発射まで、まさに文字通り「核暴走」を続け、これに対する国連安保理による厳しい制裁決議が16年3月から6件立て続けに採択された。まず北朝鮮にとって最大の輸出品とされる石炭の輸出が禁止され、最終的に農水産物や衣料品の輸出までストップさせる内容だった。さらに石油精製品の輸入も厳しく制限されたことは北朝鮮経済を厳しく締め上げた。この制裁は採択から1年後の17年から本格的に影響が出始めたため、北朝鮮の経済成長率を大きく引き下げたのだ。

李竜洙(イ・ヨンス)記者

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