感染者数の急増も問題だが、重症者発生をきちんと予測できなかったのは、政府の失敗だと言われている。保健福祉部中央事故収拾本部の孫映レ(ソン・ヨンレ)社会戦略班長は「当初は重症化率を1.6%程度と仮定し、病床を補充・確保した」と言った。ところが、現在は新型コロナ感染者のうち重症化する患者の割合が2.0-2.5%と上昇、重症者が増えて病床不足という状況に陥っている。専門家らは「結局、高齢者層のブースター接種(追加接種)の時期を逃したことによる『バタフライ効果』だ」という見方を示している。政府が感染者と重症者の大量発生を予測できなかったうえ、事前の対策も設けておらず、昨年12月の流行第3波の時に経験した「病床不足」が1年たっても繰り返されているわけだ。
重症者は今月7日に840人と、初めて800人台に達したが、今月末には1645人になるという予測(国家数理科学研究所)もある状況だ。
それにもかかわらず、文大統領は先月21日の「国民との対話」で、「感染者5000人、1万人まで増えると考えて備えた」「過去に戻ることはできない」と述べた。だが、オミクロン株の発生まで重なりながらも、防疫措置の一部再強化という現状について、これといった説明も、謝罪もしていない。先日、新型コロナと経済状況に言及した時も「どの国よりも経済回復が早い」「世界最高水準の接種完了率を達成した」「K防疫は国際標準になった」と自画自賛していた。
青瓦台は「文大統領は毎日非公開で参謀らや各部処(省庁)の報告を受け、しっかり対応しているところだ」と伝えた。金富謙首相と週例会議などで状況を共有し、長官・次官を現場に派遣したりしているという。文大統領は先月29日に特別防疫会議を開いたのに続き、今月7日に国務会議(閣議に相当)を主宰し、「今後4週が決定的に重要な時期だ」「K防疫の成否がかかっているという覚悟ですべての力を総動員する」と明らかにした。しかし、「大統領が自ら防疫現場にも行き、防疫特別会議を主宰する時は最近の状況について国民の前で直接説明すべきだ」という声も上がっている。だが、与党・共に民主党関係者は「大統領は一から十まですべてに携わっているが、『前面に出るとかえって国民の不安が高まるかもしれない』と判断した」と語った。
金富謙首相は「民防衛服」と呼ばれる黄色いジャンパーを脱ぐ暇もなく、ほぼ毎日、中央災難安全対策本部会議と現場を行き来している。金首相は同日も文大統領の代わりに、各部処の長官や処長らに「該当部処の所管分野・施設に対して現場点検を9日午前までに必ず実施し、その結果を報告せよ」と指示した。6日から再び強化されて実施に入った防疫措置が現場で円滑に履行されているかどうかを詳しく点検し、補完事項を見つけ出して改善案を報告させる狙いだ。金首相は「今月31日まで続く4週間の特別点検期間中に防疫状況が早急に安定するよう部処内の力を総動員して対処してほしい」とも述べた。
キム・アジン記者、金成謨(キム・ソンモ)記者