世界最大手のノートパソコンメーカーである中国レノボ(聯想集団)の「アイデアパット・スリム5」は現在韓国国内で74万ウォン(約7万1400円)程度で販売されている。1年前には64万ウォン台で売られていた商品だ。若者に人気がある台湾ASUS(エイスース、華碩電脳)の14インチ「Zenbook」も価格が2カ月で13%上昇し、95万ウォンとなった。IT製品は時間がたてば価格が値下がりするのが一般的だが、真逆の現象が起きている。ノートパソコンの価格が大幅に上昇した原因は両製品が生産される中国現地にある。中国の勤労者の最低賃金が今年17%上昇し、中国政府は最近、最大20%の電気料金値上げに踏み切った。中国の主な物流業者は人件費上昇を理由に物流費用を相次いで引き上げている。さらに半導体など主要部品の供給不足も重なり、原価が上昇したことから、韓国での小売価格まで上昇した格好だ。中国の10月の生産者物価は13.5%上昇し、1995年以降で最高を記録した。
原油価格急騰、水道料金も跳ね上がる…韓国で「インフレ恐怖」が現実に
「世界の工場」と呼ばれる中国の物価上昇は韓国で「チンフレーション(Chinflation)」という造語で呼ばれ、韓国の消費市場に直接影響を与え始めた。中国で生産されるテレビ、掃除機など電子製品だけでなく、自動車、電気自動車用バッテリー、ニンジン、ニンニク、トウガラシなど農産物まで軒並み価格が急騰している。
専門家は中国での物価上昇がやがて、中国から部品や原材料を輸入して完成品を生産する韓国企業の製品価格値上がり、韓国国内での食材値上がりにつながることを懸念している。中国産農産物を大量に使う零細事業者も直撃を受ける。コロナからの回復局面に中国発の物価上昇が冷や水を浴びせかねない。韓国の輸入全体に中国が占める割合は23%に達する。韓国経済研究院のイ・サンホ経済政策チーム長は「東南アジア各国でのコロナ拡大で閉鎖される工場が増え、中国製に対する依存度がさらに高まりつつある。世界のサプライチェーンの中心にある中国の物価上昇は韓国だけでなく、世界的な脅威になり得る」と指摘した。
パク・コンヒョン記者
崔仁準(チェ・インジュン)記者