韓国のコロナ新規感染者数、昨年の第3波の2倍…重症者用病床はパンク寸前

 新型コロナ重症者がなかなか減らないことから、医療態勢への過度な負担に対する懸念が高まっている。新型コロナワクチン接種完了率が78%を超え、4000万人を上回る国民がワクチンを接種したのにもかかわらず、危機感は依然として高いままだということだ。昨年末の流行第3波時に経験した「病床不足」が1年ぶりに再び起こるのではないかという不安さえよぎる。

【表】韓国の新型コロナワクチン接種者・未接種者の重症化率・死亡率の違い

■流行第3波時より2倍多い感染者

 昨年の第3波期間中だった11月に70人台だった重症者は12月末に300人台へと急増、重症者用病床は一時、ソウル市で0床、京畿道で2床、仁川市で1床まで減る超緊急事態に至った。入院を待っていた患者が死亡するケースも続出した。政府が昨年上半期に重症者用病床に関して予算を確保しただけで、速やかに執行しなかったためだった。その後、遅まきながら民間病院の病室を動員して重症者用病床を増やし、現在は全国に1100床余り、首都圏には690床が確保されている状況だ。

 それまでワクチン接種が本格化して重症化率が下がり、重症者用病床には余裕があった。ところが、デルタ変異株が急速に広がり、感染者数が急増すると、重症者用病床は少しずつ埋まり始め、最近は状況が深刻になっている。

 14日時点で全国の新型コロナ重症者用病床1125床のうち699床が使用されている。病床使用率は62.1%だ。緊迫した状況ではないように見えるが、首都圏は違う。首都圏(ソウル市・仁川市・京畿道)の病床使用率は76.4%なのだ。政府が先に「ウィズコロナ(段階的な日常生活の回復)」措置を一時中止する「サーキットブレーカー(緊急計画)」発動基準として提示した75%を上回っている状態だ。さらに、政府が「確保した」と発表した病床の多くは、患者が入ってもすぐに投入できる医療従事者が十分でないため、数字の上だけの病床だという見方が多い。つまり、首都圏の重症者用病床は事実上、飽和寸前だということだ。

 しかも、第3波の時は一日新規感染者数が1000人台だったが、今は9月末以降2000人台を行ったり来たりしている点が問題だ。病床は増えたものの、それだけ重症者も増えていて安心できないということだ。

 政府は15日に追加で病床確保行政命令を発動すると同時に、首都圏の病床が埋まった場合は近隣地域に患者を移送して治療する対応を明らかにした。これに対して専門家らは「病状さえあればいいということではない」「重症者を治療する人員がすぐに増やせると思っているのだろうか」と指摘した。

■ワクチン効果減少…高まるハイリスク群のリスク

 結局、ブースター接種(追加接種)を拡大し、未接種者をできるだけ接種の方向に引き寄せて集団免疫力を高めることが当面の課題として浮上している。

 最近の重症者急増に関連して、高麗大学予防医学科のチェ・ジェウク教授は「比較的ワクチンを早く接種した高齢層を中心にワクチン効果が下がっており、その影響が現実として現れている」と語った。死亡率が比較的高い60歳以上の高齢層の感染者は10月第3週の2020人から今月第1週4416人へと2倍以上増えている。ワクチン効果は低下し、「ウィズコロナ」措置後に緩んだ防疫網のせいで、新型コロナ感染に頻繁にさらされている状況だ。これらの人々を対象にしたブースター接種を急がなければならないのは、こうした理由からだ。

 未接種者に対する対策も必要だ。政府が今年4月から感染者27万人を分析した結果、未接種者の重症化率は3.1%、死亡率は0.36%で、接種後の感染者の重症化率0.57%、死亡率0.13%に比べ非常に悪かった。防疫当局は「未接種の感染者は接種後に感染した人より重症化するリスクは5倍、死亡につながるリスクは3倍も高い」と明らかにした。

 慶尚南道医師会のマ・サンヒョク感染症対策委員長は「先にワクチンを接種した高齢層のワクチン効果が下がって、療養施設などを中心に集団感染が増えているようだ」「人命被害を減らし、ウィズコロナを維持するには、短期間に大規模なブースター接種を行い、未接種者とハイリスク群を保護する追加対策が必要だ」と述べた。

ペ・ジュンヨン記者

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • ▲15日、京畿道平沢市の博愛病院にある新型コロナ患者用の病室で、防護服を着て患者の様子を見る医療従事者たち。写真=NEWSIS
  • 韓国のコロナ新規感染者数、昨年の第3波の2倍…重症者用病床はパンク寸前

right

あわせて読みたい