北朝鮮はコロナによる経済難の中でも核・ミサイル開発を続けており、制裁を回避する手口も非常に巧妙になっていることが分かった。国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁委員会は4日(現地時間)に制裁の現状報告書を公開し、その中で「北朝鮮は海外で引き続き核・ミサイル開発に必要な物資や技術の確保を目指している」とした上でこのように明らかにした。報告書は特に「北朝鮮による制裁の違反やその回避行動は中国の後押しを受けて行われている」とも指摘した。そのため報告書の最終版公表を巡って米国など欧米諸国と中国が対立していたことも分かった。
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北朝鮮はこれまで国際社会の監視をかいくぐり石炭の密輸出、漁業権の販売、サイバー金融犯罪、精製油の密輸入などを続けてきた。ある外交筋は「このような形で確保した資金や物資は核・ミサイル開発の継続に使われている」「これらの違法行為は中国の協力なしには不可能というのが米国や安保理の見方だ」と伝えた。
その一例として中国政府は自国の企業が北朝鮮の領海での漁業権を購入するなど、北朝鮮に対する制裁に違反していた事実を確認したにもかかわらず、これをずっと否定してきた。それどころか中国政府は制裁委員会に対し「漁業権に関する情報は報告書に記載するな」と求めていた。中国政府はさらに、委員会が制裁違反や回避の疑われる船舶が中国の領海に繰り返し現れることについて追及した際「疑わしい船舶は昨年から中国の港湾には入っていない」と否定した。米ウォールストリート・ジャーナル紙は「対北制裁委員会は中国の妨害によりまともに機能していない」と報じた。
このように制裁の実行と制裁委員会の活動を巡って米国と中国の対立が表面化しているが、そのような中で韓国外交部(省に相当)の鄭義溶(チョン・ウィヨン)長官が制裁緩和の必要性を何度も訴えていることは外交関係者の間で注目を集めている。鄭長官は今月1日、国会で「北朝鮮に対する制裁の緩和を検討すべき時になった」と証言し、これに先立ちワシントン・ポスト紙とのインタビューでも「米国は北朝鮮に提供可能な具体的なインセンティブ(誘因策)を提示する必要がある」と主張した。ワシントンのある外交筋は「最近になって米国政府関係者は何度も制裁の実行を強調しているが、これは中国をけん制するという意味合いが強い」とした上で「鄭長官の発言は無用な誤解を招く恐れがある」と警告した。