韓国の大学卒業生の就職難と企業の求人難が同時に起こるいわゆる「採用ミスマッチ」の原因について、教育界では「金太郎あめのようにどこの大学も同じような百貨店式の学科開設」「専攻利己主義に陥った教授たちによる古い教育課程(カリキュラム)」などが指摘されている。数十年にわたり大枠が変わらないソウル市内主要大学の学科構成を非首都圏の全ての大学が模倣しているため、急変する産業界の変化に対応できていないということだ。例えばソウル大学人文学部はアジア言語文明学部が新たに一つ追加されたほかは30年前と全く変わっておらず、工学部や社会学部も一部の学科が学部に改編、あるいは名称が変わっただけで中味はそのままだ。このような学科構成を、置かれた状況や立場が異なる他の大学までソウル大学に合わせようとしているのだ。さらにはビッグデータ、人工知能、スマートシティーなど第4次産業革命に関わる新しい産業分野についても従来の学科の名称が変わっただけで、教授陣や講義の内容は従来と全く変わっていないケースもある。首都圏のある大学は「基礎数学」という科目名称を「AI基礎数学」に変更しただけだ。
より大きな問題は教育内容だ。韓国で最高の権威を持つ研究者団体の韓国科学技術翰林(かんりん)院(アカデミー)に所属する若い研究者たちは「教授採用においてミスマッチが起こる原因」について「大学の古いカリキュラムと産学協力が不十分なため」と口をそろえる。成均館大学薬学部のイ・ジェチョル教授は「バイオ業界では医薬品開発に使える実用的な知識を持ち、実際に開発ができる人材を求めている。しかし現在の生命バイオ関連の授業は基礎的な知識を教えることだけに力を入れている」とした上で「業界は日々変化を続けているが、大学で行われる教育は基礎的な理論にとどまっている」と指摘した。