文在寅(ムン・ジェイン)政権発足後、伝統的な友好国である米国と日本に駐在する韓国大使のアグレマンに要する期間が長くなった一方、中国駐在の大使はこれが短くなったことが10日までにわかった。アグレマンとは新任の大使など外交使節を派遣する際、相手国から任命同意を得る手続きのことを言う。要請から1カ月以内に終了するのが国際社会の慣例だが、個人に対する不満や政治的な理由でアグレマンを拒否、あるいは相当長い期間遅延させるケースがたまにみられる。
韓国外交部(省に相当)が国会外交統一委員会所属の保守系野党・国民の力の太永浩(テ・ヨンホ)議員に提出した「ここ10年間のアグレマン対象者に要した期間」と題された資料によると、文在寅政権発足後に任命された大使184人に対する1人当たりのアグレマン所用期間は平均で40.8日だった。朴槿恵(パク・クネ)前政権で任命された174人は35日だったため、前政権よりも6日ほど長くなったことになる。
主要国別にみると、朴槿恵元大統領が任命した安豪栄(アン・ホヨン)元駐米大使は34日かかったが、文大統領が任命した趙潤済(チョ・ユンジェ)元大使は47日、イ・スヒョク大使は60日で、平均すると53.5日と20日近く長くなっていた。駐日大使の場合、前政権で任命された李丙琪(イ・ビョンギ)元駐日大使は22日、柳興洙(ユ・フンス)元大使は25日、李俊揆(イ・ジュンギュ)元大使は32日で平均すると26.3日だった。これに対して現政権発足後に任命された李洙勲(イ・スフン)元大使は41日、南官杓(ナム・グァンピョ)元大使は30日、姜昌一(カン・チャンイル)大使は37日で平均すると36日だった。前政権に比べると10日近く長くなったことになる。韓国経済社会研究院外交安保センターのシン・ボムチョル所長は「韓日慰安婦合意の破棄、日本による輸出規制などによる韓日関係の悪化がこのような形で反映されたようだ」との見方を示した。
中国の場合、前政権で任命された権寧世(クォン・ヨンセ)元大使は18日、金章洙(キム・ジャンス)元大使は16日で平均すると17日だったが、今の政権で抜擢された盧英敏(ノ・ヨンミン)元大使は17日、張夏成(チャン・ハソン)大使は11日で平均14日と3日短くなった。太議員は「重要な友好国である米国・日本との関係はギクシャクしたが、韓中関係は強化された。『韓国の外交政策は特定の方向に傾いている』との指摘がこれらの数値でもわかる」と指摘した。
ここ10年でアグレマンに要した期間が最も短かったのは2015年に任命されたホン・ソクファ元ニカラグア大使で、わずか3日しかかからなかった。これに対して2018年に任命されたユ・ソンドク元モロッコ大使はアグレマンに144日もかかった。